年頭所感
■2025年は重要な転換期
令和7年1月31日
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全国圧接業協同組合連合会 会長 松本 一彦 |
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、全圧連の事業活動に対し格別のご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
建設業界は、時間外労働の罰則付き上限規制が適用されることとなり、「働き方改革」への意識変化に伴い、建設業法・入札契約適正化法・公共工事品質確保保進法の3法改正による第3次担い手3法が成立しました。
背景には、日本の就労人口が減少する中、他産業より賃金が安く労働時間も長いため、社会インフラ整備や防災減災・災害復旧に尽力する担い手不足が懸念される建設業界への法改正であります。この法案の概要は、「労働者の処遇改善」「資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」「働き方改革と生産性向上」の告示を受け、本年末からの施行に向け、中央建設審議会が「労務費の基準」を作成し勧告されます。
まずは処遇改善に向けて適正な労務費を確保し、受け取った労務費の原資を技能者へ適切な賃金を確実に支払うようにするためには、基準労務費による標準見積書を作成し、能力に応じた適切な労務費の確保と賃金の行きわたりを行うため、関係団体に理解を求め対応していかなければなりません。
また、次世代へ技術を継承していくためにも、若年者の確保育成に向けて幅広い広報活動を行うとともに、品質維持には技術と知識が必要なため、高い技術力を持った集団として、常に切磋琢磨できる教育の場を設け、高い技術者を育成していくことが求められます。また、技能実習制度の見直しがあり、人手不足における人材の育成・確保を目的とした育成就労制度が創設された、今後、外国人就労者は圧接技術を継承してくれる担い手として育成していくことを求められます。業界が一丸となって、処遇改善に取り組み、若手技量者が圧接業界で安心して働けるライフプランを提示しなくてはなりません。
全国圧接業協同組合連合会は、第7次構造改善計画(令和2年度〜令和6年度)が今年度で終了し、令和7年度から5年間を第8次構造改善計画として、「信頼できる技術集団を目指して」をテーマに、圧接業界はどのように変化していくのか、希望と新たな挑戦が待ち受け、大きな飛躍を目指します。
諸先輩から引き継いできた素晴らしい技術と経験と知識を活かし、多様化する建設工法への対応やクリーンエネルギー対策にも取り組んでいかなければなりません。
2025年は、圧接業界にとって重要な転換期となるでしょう。技術革新・環境への配慮・人材育成が業界全体の発展に寄与することを信じています。圧接業界の未来は、技術革新と持続可能な発展を行い、さらに成長し、新たな時代に適応していくことでしょう。
皆様のご支援とご協力に感謝し、共に明るい未来を築いていきましょう。
結びに、関係各位のご健勝とご多幸を祈念申し上げ年頭のご挨拶といたします。
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■担い手の確保・育成の取組を通じて持続可能な産業に
令和7年1月31日
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公明党代表 衆議院議員 全国圧接業協同組合連合会 顧問 斉藤 鉄夫 |
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
全国圧接業協同組合連合会の皆さまには、長年に渡り、ご指導ご鞭撻を賜っておりますことに、あらためて御礼申し上げます。
昨年10月までの約3年間、国土交通大臣として事業所管の立場から関わらせて頂きましたが、多くの産業がそうであるように、建設産業も担い手不足や資材価格の高騰等、課題は山積しています。
こうした中、業界の将来を案じ、様々の課題を受け止め、乗り越えようとする皆さまの真剣な思いと奮闘を、担当から報告を受けるたび、胸を熱くしたのを覚えております。
昨年11月、大臣を退任し党に戻りました。計らずも公明党代表という重責を担うことになりました。引き続き、皆さまにはお世話になりますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
さて、昨年の元日に発生した能登半島地震から1年が経ちました。私も年頭1月5日に公明党代表として被災地を訪問致しました。復旧・復興が進む一方、昨年9月の豪雨災害が追い打ちをかけ、地域の再生は思うように進まず。被災者の皆さまは厳しい生活を余儀なくされています。一日も早く、穏やかな日々を過ごして頂けるよう、公明党として、関係省庁等とも連携を取り、総力を上げて対応してまいります。
また、能登半島地震や豪雨災害をはじめ自然災害の発生を受けては、地域の建設業関係の皆さまが、自らが被災されても、発災当初より早期復旧に向け、昼夜問わず、懸命にご対応頂いております。地域と、そこに住まう人々を救う強い使命感と現場力に、深く敬意を表するとともに、あらためて心より感謝を申し上げます。
建設業は、防災・減災、国土強靱化の社会インフラ整備・維持管理を支える重要な基幹産業であり、災害時に応急復旧対策を担い、安全・安心の確保を図る「地域の守り手」として、重要な役割を担っています。この役割を将来に渡って担って頂けるよう、担い手の確保・育成の取組を通じて、建設業を持続可能な産業にしていかなければなりません。
そのために、昨年、建設業法等の改正を行いました。入契法(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)と品確法(公共工事の品質確保の促進に関する法律)を一体で改正した、「第三次・担い手3法」です。
私もこの法改正の当時、大臣として国会で改正法の意義等を答弁させて頂きましたので、思い入れがあります。
現場で汗する皆さまが、やりがいと誇りを持ち、次代を担う若い人が一人でも多くこの業界に入って頂けるよう、改正法を踏まえ、官民一体となって現場技能者の処遇改善を進めて頂けることを、切に願っております。
国土交通省もしっかりと取り組んで頂けると思いますし、皆さまのお力添えも頂きながら、転換期にある建設産業を、建設業界OBとして、国土交通大臣経験者として、熱い視線で見守っていきます。
本年が皆さまにとりまして希望に満ちた発展の年になりますことを心から祈念いたします。
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■2025年「圧接業の未来戦略」再構築
令和7年1月31日
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全国圧接業協同組合連合会 顧問 藤盛 紀明 |
新年を寿ぎ「圧接業未来戦略」を語りたい。未来戦略は既に二回議論されている。第一弾作成時のメンバーに松本一彦氏(栄進工業 取締役営業部長)、足立真規氏(太陽圧接 専務取締役)がおられ、第二弾では松本氏も足立氏も社長に就任されていた。そして9年後の今、松本氏は全圧連の会長、足立氏は副会長である。
第一弾の「まえがき」には「多くの建設工事で多様な鉄筋継手が採用されるようになった」と記され、提言のトップは圧接業の未来事業形態案として「総合鉄筋継手業への拡大シナリオ」である。提言で未来の事業形態案で他に記されているのは「鉄筋検査業へも転業シナリオ」「圧接業の地域連携シナリオ」「圧接業の海外進出シナリオ」である。足立氏の関西圧接業協同組合では地域連携がかなり行われているようである。ほかに圧接技量者の安定確保についても提言が行われている。
第一弾は私が主導してまとめたが、第二弾は「業界参加者自らが考え、納得する施策を出す」方針とし、足立氏に委員会をリードして頂いた。この提案書では先ずは本業の「圧接ビジネスの未来戦略」を議論している。本業の“圧接事業での売り上げ拡大”のために⑴既存顧客からの売り上げアップ⑵圧接から離れた顧客の引き戻し⑶潜在的な圧接市場分野(細径鉄筋など)探索⑷競合接合技術対応⑸営業力強化⑹受注平準化⑺商品力アップ⑻海外戦略などを検討している。まことにもっともな内容で、重要な議論であった。更に“圧接工事の上流から下流までの圧接関連サービスビジネス”“圧接を適用できる新ニーズ発掘”“コスト削減・生産性拡大方法”“圧接業の資産(多能工的人材・組合ネットワークなど)活用ビジネス”を記している。本業の圧接そのものの未来を探索した内容で高く評価される。「異業種との連携」「鉄筋接合以外のビジネス」「組合としての戦略」「協会が果たすべき役割と施策」が記されている。
第一弾・第二弾を振り返ってみると、考えられる戦略はほとんど語られている。第三弾は過去2回の提言を再度熟読して「圧接業の未来戦略」を再構築することである。第二弾では議論に先駆けてSWOT分析をしている。SWOT分析とは、企業や事業の内部環境と外部環境を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの要素で分析する方法である。第二弾では「異業種との連携」「鉄筋接合以外のビジネス」「組合としての戦略」「協会が果たすべき役割と施策」が記されている。松本会長の栄進工業は大きな売上と利益を上げている。何故ならば栄進工業は「鉄筋ガス圧接」の他に「鉄筋加工組立」「レール圧接・溶接」と異業種ビジネス、鉄筋圧接以外の圧接を行っているからである。第三弾は全圧連主導で作成してはどうか。
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■改正建設業法 適切な処遇を維持するための法施行
─担い手不足を解消するために─
令和7年1月31日
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全国圧接業協同組合連合会 副会長 土井 克也 |
建設業は他産業と比較すると労働内容に対する賃金が低く、就労時間も長いため担い手の確保が困難とされています。全国圧接業協同組合連合の「第8次構造改善計画(案)」でも担い手不足の解消を重要課題としていますが、そんな建設業の担い手不足を解消し持続可能な建設業とするために「労働者の処遇改善」「労務費のしわ寄せ防止」「働き方改革・生産性向上」を盛り込んだ改正建設業法が昨年12月にその一部が施行され、令和7年12月にはすべてが施行される予定です。
今後、処遇改善に必要不可欠となる労働者への適切な賃金の行きわたりを行うために先行的に数業種を対象として標準労務単価が策定される見込みです。鉄筋工事業協会様のご配慮もあり、圧接業に従事する方々も対象として国交省および関連各所と協議を重ねています。
我々鉄筋継手業に限らず専門工事業の見積契約は競争原理や市場動向に左右されますが結果として必要な経費にしわ寄せが生じている例も少なくありません。そのため、改正建設業法では労務費をはじめとする工事に必要な費用を工事原価として位置付け本来、値引き対象とするべきではない事項を明確化し不適切な見積契約を防ぐことが明示されています。特に著しく低い労務費での契約には発受注者双方に一定の規制が設けられます。
必要な原価として対象となる「労務費」「法定福利費」「安全衛生管理費」「材料費」これらを見積書に内訳明示しますが、工事原価とは別に事業収益を考慮する必要があります。「安全衛生管理費」は負担する対象事項と費用が複雑になるため多くの会員が苦労することが想定されます。
近年、燃料ガスや資材等の度重なる価格改定分を工事途中に転嫁できず受注側の負担増となっていることも懸念されていますが、改正建設業法では工事途中であっても材料原価上昇分を所定の手順を踏むことで転嫁することができると明記されています。
いずれについても工事完遂までの必要材料費・労務人員を適切に算出することが不可欠となるため企業によっては対応に苦慮した結果、適切な費用計上をしない場合が発生する可能性もある一方、法令等を遵守するため人件費を掛けて適切な見積を行っている企業が受注競争で損をする状況は好ましくありません、そのため国交省では「建設Gメン」による実態把握を行い不適切状態の抑止を行います。
今回の改正建設業法が建設工事に従事する方々の適切な処遇を維持するために有効な法施行となり、工事契約は必要な原価を確保したうえで企業努力等による受注競争となることを願います。
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■最近の建設産業行政の動向について
令和7年1月31日
国土交通省 不動産・建設経済局 建設振興課
専門工事業・建設関連業振興室長 松田 慧吾
1.はじめに
建設業は、社会資本の整備の担い手であるとともに、災害時における「地域の守り手」として国民生活や社会経済活動を支える極めて重要な役割を担っている基幹産業です。一方、他産業と比較して厳しい就労条件を背景に就業者の減少が続いており、建設業がその重要な役割を将来にわたって果たし続けられるよう、「処遇改善」、「働き方改革」、「生産性向上」に取り組むことが急務となっています。これまでの常識にとらわれず、新たな商慣行の形成など、行政と民間、また、民間同士が一体となって、実効性のある取組を講じていくことができるか、極めて重要な局面にあります。
本稿では、こうした背景から講じている建設産業行政の動向についてご紹介します。
2.建設業を巡る現状
建設投資額の推移を見ますと、平成4年度の約84兆円をピークに平成22年度には約42兆円まで落ち込みましたが、その後、増加に転じ、令和6年度は約73兆円となる見通しとなっております。一方で、建設業就業者数の推移を見ますと、平成9年の約685万人をピークに減少傾向が続いており、令和5年には約483万人となります。特に現場を支える建設技能者は平成9年の約455万人から、令和5年には約304万人となるなど、約3割が減少したことになります。また、建設技能者の高齢化と若者の減少も顕著です。
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建設業就業者数の推移 | 建設業技能者の年齢構成 |
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(10人以上の常用労働者を雇用する事業所)によって、建設技能者の賃金水準の推移を見ますと、平成24年以降、上昇を続けており、令和5年の年収額は432万円となっておりますが、全産業平均の508万円と比較すると、まだ開きがある状況です。また、同省の「毎月勤労統計調査」年度報によって労働日数や労働時間を見ますと、建設業は改善傾向にありますが、全産業と比較して出勤日数は11日、労働時間は62時間長い結果となっています。
3.第三次・担い手3法
こうした背景も踏まえて、国土交通省ではこれまでに、公共工事設計労務単価の適切な設定、建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及拡大、法定福利費や安全衛生経費の行き渡り、週休2日の導入拡大や施工時期の平準化のための取組など、様々な施策を進めてまいりました。
こうした取組に加えて、更に改善を推し進めるべく、昨年6月に改正・公布された第三次・担い手3法に基づく、新たな仕組みの具体的な制度設計に取り組んでいます。
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第三次・担い手3法(令和6年改正)の全体像 | 建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律 |
特に、労務費の行き渡りについては、改正建設業法に基づきまして、労務費の基準を作成することとなっており、本年12月の施行に向けて、昨年9月に中央建設業審議会の下に、労務費の基準に関するワーキンググループを設置し、12月26日までに3回開催するなど、議論を進めています。
この仕組みは、技能者の担い手確保のためには厳しい労働環境に見合った賃金の引き上げが必要である一方、建設工事の請負契約において、賃金の原資となる労務費は、相場が分かりづらい、材料費よりも削減が容易、技能者の処遇を考慮せず安価に請け負う業者が競争上有利である等の性質により、重層下請構造の下、技能者を雇用する下請業者まで適切に労務費が確保されておらず、新たなルールが必要ではないかという考え方に基づいて講じられることとなったものです。
中央建設業審議会が労務費の基準を作成・勧告するとともに、これを相場観としながら、請負契約において、受注者に対しては労務費等を内訳明示した見積書の作成を努力義務とし、注文者に対してはこうした見積書の内容を考慮するような努力義務が課されます。また、受注者には、労務費の基準も勘案しながら、通常必要と認められる額を著しく下回るような見積もりが、注文者には著しく下回るような見積もり変更依頼が禁止されることとなり、違反した建設業者に対しては国土交通大臣等からの指導・監督処分が、発注者に対しては国土交通大臣等からの勧告・公表といった措置が講じられることとなります。
この労務費の基準をどういった計算方法で設定すべきか、また、作成単位はどうすべきか、基準の改訂頻度はどうするかなど、具体的な「作成方法」に関する議論と、実際にこの仕組みが機能し、労務費が行き渡り、技能者の賃上げにまでつなげるためにはどういった取組が必要かといった、「実効性確保」に関する議論を、労務費の基準に関するワーキンググループで議論を続けているところです。
更に、様々な専門工事業で構成される建設業界において、機能する仕組みとするためには、この作成方法と実効性確保に関して、職種別に意見交換をしながら制度設計をする必要があるため、業界団体の皆様の御協力をいただきながら、順次進めることとしています。特に全国圧接業協同組合連合会とは、関連が深い鉄筋という枠組みにおいて、既に職種別の意見交換を進めているところです。
官民連携の下に、この新しい仕組みがしっかりと機能するものにしてまいりたいと思います。
4.終わりに
我が国にとって不可欠な建設業が、将来にわたってその社会的使命を果たし、持続的に発展していくためには、「処遇改善」や「働き方改革」、「生産性向上」を通じて、現場で活躍しておられる皆様がやりがいと誇りを持てる産業、次代を担う若者から選ばれる魅力的な産業となっていくことが重要です。
これから講じようとしている施策は、建設業界において新たな商慣行を形成しようとする非常にチャレンジングな取組となります。このためには、公共・民間を問わず、発注者・元請事業者・下請事業者といったサプライチェーン全体で、同様の課題意識を持ち、官民が一体となって、課題解決に向けた取組を講じていく必要があります。
今後とも、皆様の御理解・御協力を賜れれば幸いです。
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■令和6年度 建設マスター・建設マスタージュニア顕彰受賞
令和6年10月18日
令和6年10月18日、有楽町よみうりホールにおいて、建設産業の第一線で「ものづくり」に従事されている方々で、優秀な技術・技能を有し、後進の指導・育成等に多大な貢献をした建設技能者452名、建設マスタージュニア121名の方が顕彰を受賞されました。
圧接業界の更なる発展のために
(有)深田工業 深田 規之
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この度、皆様のご指導とお力添え頂き、優秀施工者国土交通大臣顕彰を受賞できたことを心より感謝申し上げます。
この仕事を初めて早いもので20年以上、23歳の時から職長として従事しており、若い頃は一生懸命作業してても評価されないことも多く苦労しました。今回、自身の今までの功績が認められ大変うれしい限りです。
圧接という素晴らしい技術の更なる発展のためには、すべての技量者が高品質を維持することが重要です。高品質を維持し施工を均一化するにはどうしたらよいか、常々考えております。まずは小さいところで社内の全従業員、ゆくゆくは圧接業界全体の品質が均一化できるように、後進の指導教育に微力ながら尽力させて頂きます。
この度はありがとうございました。
建設業界の進歩発展に
(有)シロイ圧接 津久井 公太
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17歳から圧接工を始めて最初は、とりあえずくらいの気持ちで始めましたが、日々施工をしていくなかでガス圧接の技術の素晴らしさを知ることになり、ガス圧接についてもっと学びたいをいう意欲にかられ、23年の月日が経ちました。今では、ガス圧接継手に留まらず、溶接継手、機械式継手といった総合継手業に向けた技術の研鑚に日々、邁進していきたいと考えています。また、建設業界全体としての人手不足、資材高騰、カーボンニュートラルといった問題が山積みですが、このような問題と真摯に向き合い、建設業界の進歩発展に貢献できるよう、努力邁進していきたいと思います。
この度は建設マスターという素晴らしい賞を頂き、ありがとうございました。
皆様に感謝
日圧(株) 酒井 洋
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この度は、賞を受賞させて頂きありがとうございました。
私は、この業界に入りもうすぐ30年になりますが、初めのころは言われた事をこなす毎日でしたが、仕事に慣れてくると自分で考えて自分流の作業の進め方に、この仕事の面白味を感じて来ました。勿論、苦労や挫折もありましたが、先輩方の指導や仲間達との切磋琢磨により、ここまで続けて来られました。
また、圧接業界も脱炭素などの課題がありますが、皆で知恵や今まで培ってきた知恵と技術を若い世代にも指導していけたらと、思います。
最後になりましたが、この度の受賞にあたり全国圧接業協同組合ならびに関東圧接業協同組合の皆様、社長、会社の先輩方、同僚、すべての方に感謝いたします。
自己の技術、技能の向上に努める
平木工業(株) 山口 悟朗
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この度は、優秀施工者国土交通大臣顕彰という身に余る程の栄誉ある賞を頂き誠にありがとうございました。社長をはじめ先輩方からの指導と、同僚や周囲の皆様のご協力のおかげだと深く感じております。
この賞の栄誉を深く胸に刻み、これに慢心することなく自己の技術、技能の向上に努め、次の時代を担う後輩の指導、育成に積極的に取り組み、建設業界・圧接業界の発展に微力ですが少しでも貢献出来る様に頑張って、当社から新たな建設マスターの輩出を目指していこうと思います。
誠にありがとうございました。
建設業の未来のために尽力したい
太陽圧接(株) 上原 城司
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この度は建設ジュニアマスターという、身に余る賞をいただき有難うございました。
この賞をいただくにあたり、今まで私を優しく、時には厳しく指導し、一人前の技術者へと導いて下さった親方、会社の皆様、苦労を分かち合った先輩や仲間たち、毎日見送ってくれた家族に心からお礼を言いたいと思います。
鉄筋継手の仕事に携わり20年目となりますが、作業をしていく中で建設業における構造物に対して継手の重要性を日々感じています。
今回頂いた賞に慢心することなく、日々精進を重ねて建設業の未来のため尽力していきたいと思います。また、これからは後進の育成にも力を入れていきたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。有難うございました。
日々勉強しこの仕事を伝えていく
(株)広島ガス圧接 安永 健一
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まず初めに今回はこのような賞を頂き、ありがとうございました。これからも会社のため、家族と一緒に働いている仲間のために、この賞に恥じないように更に頑張っていこうと思います。これから社会人になる若い世代のために、圧接に興味をもってもらえるように、自分自身も日々勉強しこの仕事を伝えていけたらと思います。
最後に、社長、仲間の皆様、このような機会を頂き感謝いたします。
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■新会長挨拶 「魅力ある業界」を目指す
令和6年7月10日
全国圧接業協同組合連合会 会長 松本 一彦
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全国圧接業協同組合連合会 会長 松本 一彦 西日本圧接業協同組合 理事長 |
令和6年5月30日付で全国圧接業協同組合連合会(全圧連)第25期(第48代)の新会長に就任いたしました松本一彦です。
歴代8人による会長の組合活動と意思を継承しつつ、新体制により次のステップに向って魅力ある業界を目指していきたいと思います。
我々、全圧連は会員数128社の小さな団体でありますが、この資源の少ない日本国の建設構造物にとって鉄筋継手は非常に重要な役割を担っていると自負しております。
深刻化する人手不足、物価高や円安の進行と先行き不透明な状況が続いています。業界としても担い手の確保、働き方改革、生産性の向上、脱炭素、DX化などの多くの課題に直面し、取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。
今後、少子高齢化が更に進んでいくとこの業界が衰退するという気がするのですが、決して後ろを向かず、前向きに取り組みたいと考えています。
まず、われわれ業界にとって、技能者の確保と育成は会員各社の最重要課題です。若年者や外国人材の育成、働き改革を推進していくなかで、一番は、技能者の処遇改善です。技能者は業界の中核を担っています。他産業以上の賃金と休暇など福利厚生を充実することで、技術者のモチベーションを高め、「この業界に入ってよかった。」と思ってもらえると、若年者に働きたい職業として認知され、「魅力ある業界」になると思われるので、団体一丸となって取り組んで参ります。
次に、業界は技術の進歩に迅速に適応する必要があります。鉄筋継手は圧接業が施工を行う事で、施工ノウハウと同業者間の応援体制を強化し、また鉄筋工事会社と連携を図り総合鉄筋継手業として確立を図りたいと考えています。
ここ数年、多様化する工法に対応するために、圧接以外に溶接継手、機械式継手に各社取り組んで技術を研鑽しているところです。そこで、常に最新の技術や知識を身につける必要があるため、継続的な教育・訓練機会を提供し、組合各社の情報共有の場を増やし、切磋琢磨する技術の研鑽と同一品質の施工協力、適正単価による受注を目指し、スキル向上をサポートしていきます。
最後に、カーボンニュートラルです。圧接業界のカーボンオフセットを推進するために資器材、燃料、運搬の3つの面から削減要因を抽出し、業界をはじめとしてその他分野全体でCO2排出量削減に向けた取り組みを進めていく必要があり、日本鉄筋継手協会から代替エネルギーとして高分子天然ガス、水素・エチレン混合ガスの認定を頂いておりますので、お客様からそして社会から求められる業界であるために、我々は脱炭素に向けて前向きに取り組んで参ります。
日本鉄筋継手協会と我々は、業界団体発足当初より鉄筋接手の技術調査研究、機器資格認定、各制度制定など、先輩諸氏の方々が切磋琢磨を継続し両団体の今日が有ります。これまでも、これからも引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
結びに、全圧連会員各社の益々の発展と技術者の地位向上を祈念し、新会長就任のご挨拶といたします。
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■新理事長に聞く
令和6年7月10日
令和6年度、松本新会長のもと役員体制が整いました。各地区の理事長に抱負、事業活動についてお伺いしました。業界は原材料の値上げ、4週8閉所、時間外労働の上限規制、処遇改善と難しい局面を突き付けられております。しかし、理事長に共通しているキーワードは、団結、転換、発展そして現状打破でした。
団結して業界発展のために尽力
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北海道圧接業協同組合 理事長 山田 賢悟 |
この度、第7代北海道圧接業協同組合(北圧協)の理事長の大任を拝命しました山田賢悟です。
前大島理事長が築き上げた組合活動を継承し、更なる北圧協発展を目指し、私自身、大変微力ですが、責務を全うするべく全力を傾注する覚悟でありますので、何卒宜しくお願い致します。
私たちの業界を取りまく環境は、慢性的な人手不足、燃料をはじめ、建築資材や、様々なものの価格が上昇し、大きな影響を受けています。
また、働き方改革関連法により、今年度から時間外労働の上限規制の厳格化が始まりました。
工事動向においても、北海道は冬季間の閑散期の対応、北海道新幹線開業延期、札幌中心部の再開発の見直しなど先の見えにくい時代ではありますが、協会そして各単協との連携、組合員同士の情報交換をして、知恵を出し合い、団結して業界発展のために尽力して参りたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。
大きな転換点に多くの選択肢を提供
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関東圧接業協同組合 理事長 土井 克也 |
この度、関東圧接業協同組合の理事長を拝命いたしました土井克也です。
歴代理事長の方々の功績を振り返ると大役に身の引き締まる思いですが、精一杯務めさせていただく所存です。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
昨今、問題となっている資材費高騰は、アセチレンガスの例を見ない値上げを筆頭にその他の資材、原料価格の高騰により厳しい現実に直面しています。さらに今年度からは「時間外労働時間の上限規制」が施行され業を取り巻く環境はより厳しいものとなっており、これまで以上に効率的かつ無理・無駄なく工事施工を進めることが求められますが、組合組織としてできることに取り組んでまいりたいと思います。
数年来、組合では従事者の処遇改善のためにCCUSの階層別目標年収を掲げて取り組んでいますが思うような成果が見えていない状態にあります。処遇改善には工事に必要な適正労務費の確保が必要不可欠であり、これには各工事における必要労務人員をもとに適切な労務費を算出することが重要ですが、「会社により必要労務人員がまちまちで工事予算算出が難しい」との声も聞かれています。労務人員の算出基準整備や普及等々、労務費の妥当性を担保するための方策を再度検討する必要性を感じています。
担い手不足解消に期待されている特定技能外国人制度ですが、国籍を問わず継手の技術を担ってくれる方々が増えることは人材不足解消に繋がりますが、定着してもらうためには組合だけではなく資格認証機関である(公社)日本鉄筋継手協会のご協力を得ながら資格取得も視野にいれることが大事だと考えます。
また、年々注目度が増す環境問題も、CO2排出量削減に寄与するための方策や情報を積極的に発信し、大きな転換点に組合の皆様が混乱せず対応するための選択肢を一つでも多く提供したいと思います。
今期も全国圧接業協同組合連合ならびに関東圧接業協同組合へのより一層のご理解ご協力を重ねてお願い申し上げます。
困難な状況を乗り越え、強固な組織を
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関西圧接業協同組合 理事長 足立 真規 |
日頃より、関西圧接業協同組合の運営にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
昨今、働き方改革や生活コストの上昇に伴い、実質賃金の低下が見られます。これは大事な職人の皆さんの生活に直結しており、私たち全員が直面している重要な課題です。
現状、ゼネコン各社の評価基準は以前の単価の安さではなく、「新しい人材をどれだけ雇い入れ、且つ、しっかりとした教育を行い、育てているか」が重要視されています。この「人を雇用し、育てる」というニーズに対応するためには、会社に資金が必要です。燃料資材の高騰から始まった施工単価の上昇傾向をとどまらせることなく、次は労務賃に還元するべく、さらに向上を目指し、創意工夫を凝らし、時代の変化に柔軟に対応していく必要があります。
関西はインバウンド需要の急激な増加により、観光業が盛り上がりを見せています。新しいホテルが次々と建設され、大規模な商業施設の計画も進行中です。大阪市内の中央区や北区だけにとどまらず、多くの新規開業施設が予定されています。
それらに対応していくには、こうした課題に前向きに取り組んでいかなければなりません。
関西圧接業協同組合では、コロナ禍以前からの取り組みであった組合員同士のコミュニケーションを最重要視し、情報交換を図りながら生き残っていきたいと考えています。これからもお互いに支え合い、協力し合うことで、困難な状況を乗り越え、より強固な組織を築いていく所存です。
これからも皆様と共に、より良い未来を築いていくために努力してまいります。どうか引き続き、ご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
がんばりましょう。
圧接技術の発展と業界全体の向上を
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中日本圧接業協同組合 理事長 嘉藤 裕一 |
中日本圧接業協同組合の理事長を務めます嘉藤裕一でございます。
日頃から組合活動にご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。
圧接技術は、我が国の産業基盤を支える重要な技術であり、その発展と普及に尽力することは我々の使命であると認識し組合活動に勤しんでいる次第です。
現在、圧接業界は大きな変革期を迎えております。
主要材料の高騰化、建設現場の4週8閉所、そして環境への配慮がますます求められる中、中日本圧接業協同組合は、圧接技術の発展と業界全体の向上を目指し、以下の重点分野に取り組んでいきたいと思います。
1.技術革新の推進:
圧接技術の研究開発を進め、効率性と品質を向上させることに努め、産業界のニーズに応えてまいります。
2.教育と人材育成:
圧接技術者の教育プログラムを充実させ、次世代の技術者を獲得、育成致します。具体的には、現場での実践的なトレーニングを通じて、若手技術者のスキル向上とキャリア形成をサポートをしていきたいと考えております。
3.環境への配慮:
環境保護を重要な課題として捉え、省エネルギー化や廃棄物削減を積極的に推進し、環境に優しい圧接技術の普及を進め、持続可能な産業活動を支援致します。
組合員の皆様のご協力と共に、持続可能で革新的な未来を築いてまいりたいと思います。
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第7次構造改善計画を考える
■「 信頼できる技術集団を目指して 」 -総合鉄筋継手業の行く先-
第8次構造改善計画に向けての助走
令和6年7月10日
全国圧接業協同組合連合会 専務理事 中村 真也
構造改善計画は、5ヵ年を事業単位としてアクションプランを策定してきました。第7次構造改善計画は、令和2年度から始まり、令和6年度をもって終了となります。
令和6年度の1年間は、締めくくりの1年であると同時に、令和7年度から始まる第8次構造改善計画のための準備期間であり、ジャンピングボードの重要な年でもあります。
全圧連は、この5年間、第7次構造改善計画にどのように取り組んできたのか、まとめてみたいと思います。
先ず、5年間を通じて取り組んできたのが、総合鉄筋継手業への転換です。この背景には市場の縮小、継手の多様化がありました。あらゆる継手のエキスパートになるために溶接継手、機械式継手に取り組み、顧客の求める要求に対し、最適な技術をあらゆる環境下において、提供できることを目指しました。
その結果、多くの会員企業が溶接継手に取り組み、機械式継手にも取り組んでいる企業もあります。
建設業界は、この5年間慢性的な人手不足に悩まされています。全圧連も例外ではありませんでした。国土交通省は人手不足の解消策として、平成30年12月25日に在留資格「特定技能」を新設しました。
そして、令和元年1月、特定技能業種として、鉄筋継手(圧接継手、溶接継手)が認められました。我々は、海外から受け入れる特定技能外国人を人手不足の一助ではなく、圧接技術の担い手として育成していくために、ガス圧接技量資格1種、2種、3種と技術習得の道を開き、5年先、圧接技術を身につけて、自国でその技術を活かしてもらうことが、我々の責務であると考えています。
現在、業界では特定能外国人は150名ほどですが、2027年に技能実習と特定技能が統合されれば、特定技能外国人は倍増すると考えます。
全圧連は、2030年温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指す日本政府の宣言を受けて、カーボンニュートラルを第7次構造改善計画の追加重点事業としました。令和4年から天然ガスを燃料とした高分子天然ガス圧接工法の全国展開、普及に努め、令和5年から水素・エチレン混合ガスを用いたガス圧接工法の技術構築を目指しています。
第7次構造改善計画は、総合鉄筋継手業、特定技能外国人、代替エネルギーと、情勢の変化が大きなうねりとなり、今その転換点を迎えようとしています。令和6年度はそのうねりを捉え、第8次構造改善計画にステップアップできるか、ジャンピングボードの年であります。
第8次構造改善計画では、外国人が圧接技術を習得し、外国人の圧接OJT指導員が誕生して、海外への技術供与が行われると推測します。燃料も天然ガス(CNL)、水素・エチレン混合ガスは、もはや代替エネルギーではなく、クリーンエネルギーとして、主要な燃料として、社会的認知を受けることになります。
令和7年度から始まる第8次構造改善計画の5ヵ年は「challenge to change」=変化するものが生き残る、ターニングポイントとなるパラダイムシフトを迎える。
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■カーボンニュートラルは日本の未来がかかっている
令和6年7月10日
bright future合同会社 代表社員 横田 英樹
(元一般財団法人省エネルギーセンター出版部長)
日本の太陽光発電の導入量は国土面積あたりで世界第1位
温暖化対策として、120以上の国と地域が2050年までにカーボンニュートラル(CN)を宣言する。日本ももちろんその一つ。承知の通り、中期目標の2030年においては、温暖化効果ガス排出量を46%削減(2013年度比)するとしている。エネルギーを多く消費する産業が多い我が国においては、この数字は極めて野心的であり、実現のハードルは相当に高いと見られている。しかし、日本の取り組みは遅い、不十分といった声が海外だけでなく、国内からも聞こえてくる現状である。その理由の一つが、世界の二酸化炭素排出量で、中国32.1%、アメリカ13.6%、インド6.6%、ロシア4.9%に続き日本は5番目の3.2%であること。また、一人当たり排出量で、アメリカ12.8t/人、ロシア10.8t/人、韓国10.5t/人、次いで4番目に日本7.9t/人1)となっていることから、その役割と責任は大きいことが挙げられよう。
一方で、再エネ発電導入容量は中国1067GW、アメリカ373GW、ブラジル161GW、インド154GW、ドイツ145GW、続いて6番目に日本138GWとなっている。このうち、太陽光発電は中国308GW、アメリカ118GW、次いで日本78GWの第3位で、脱炭素先進国といわれるドイツ59GWを凌いでいる2)。国土面積あたりで見ると、日本は第1位で175kW/k㎡、2位がドイツの165kW/k㎡、3位がイギリスの57kW/k㎡であり、平地面積で見ると日本は514kW/k㎡、2位のドイツが243kW/k㎡で、ドイツの2倍以上となっている3)。取り組みを評価するにあたり、こうした数字も理解しておく必要がある。さらに、脱炭素推進のもう一つの柱である省エネルギー対策においては、2度のオイルショックを経て推進された日本は世界の範となるものである。こうして見たときに、我が国の取り組みが遅い、不十分といった声はあまりに短絡的であり、一方的に思う。
建設業におけるCO2排出量とCNの動き
さて、建設業、特に施工現場におけるCNに向けた取り組みと、今後の方向である。我が国の部門別二酸化炭素排出量は、産業部門が最も多く35%を占めている。そのうち建設機械が1.4%(我が国全体の0.5%)とされている4)。全体から見ると小さな数字に見えるが、CNという高いハードルには、これまでの鉄鋼、化学、製紙といったエネルギー多消費産業を中心とした省エネルギーでは不十分であり、業務、運輸、家庭など全部門・全業種を対象に、国家全体で取り組む必要があるからに他ならない。建設業、建設施工業も例外ではない。
一般社団法人日本建設業連合会は、資材の調達から施設の設計・施工、さらには運用・改修・解体にわたる各段階でCO2の排出抑制に取り組むとしている。これによる施工段階におけるCO2排出量削減目標を2030年度に40%削減(2013年度比)とし、Scope 1.2排出量を2050年までに実質ゼロを掲げている。
建設業ではこれまで、CO2排出量の削減としてエネルギーの需要段階の対策で、ZEB(Net Zero Energy Building)、ZEH(Net Zero Energy House)基準の建築を進めており、続々と成果を上げていることは承知のとおりである。一方で注力されようとしているのが施工段階となる。現在行われている取り組みは、高効率照明の採用、省燃費機械への入れ替え、トラック、ダンプ、建設重機(油圧ショベル等)を対象としたエコドライブなどの省エネルギー活動と、低炭素コンクリートの普及、燃料転換を図る軽油代替燃料の普及などとなっている。また今後、加速させたい取り組みとしては、ディーゼルエンジンに替わる革新的建設機械(電動、水素、バイオ等)の使用原則化を含めた導入拡大を挙げている。
他人事ではなくなったGHGプロトコル「Scope 3」
こうした建設業の動きが、下請けの施工までに拡大される背景の一つには、GHGプロトコルによる「Scope 3基準」(図参照)の策定がある。GHGプロトコルは温室効果ガスの排出量を製造・事業の上流から下流まで算定し、開示要求される国際規準であり、CDP(英国の環境格付け機関)、GRI(国連環境計画の公認団体、サステナビリティに関する国際基準)による評価が、いまやグルーバルスタンダードとなっている。これによって、これまでは自社における算定・報告で良かったものが、Scope3として連なるサプライチェーンにまで拡大された。自社からすると、サプライチェーンを含めた開示が必要になったということである。したがって、CN対策は自社(大企業等)だけの話ではなく、中小企業にも取り組みが求められるということである。ちなみに、サプライチェーンを含めたグループ全体での排出削減をいち早く表明したトヨタ自動車は生産に伴う裾野が広いことから、自社以外の関連企業でのCO2排出量が圧倒的に多いという実情がある。こうした中小企業も巻き込んだ動きは、今後、建設業においても増えていくことは確実である。
しかし、CO2排出量のすべてをゼロにするということは相当に難しい。政府が“実質ゼロ”というように、森林の保護や植林、省エネルギーによる削減効果、再エネ導入などの温室効果ガス削減寄与について、その量を排出権として売買する排出権取引等が活発化されるのも、政府審議会等の動きを見ても確実である。そのため現在、排出権取引を視野に検討する企業は増えているように思われる。
技術開発への期待
最後に、圧接業の主要エネルギーであるアセチレンガスに関連する技術開発動向を一つ紹介したい。昨年11月、同志社大学とダイキン工業株式会社の共同研究で、溶融塩電解によりCO2をアセチレンとして再利用できることを実証した、との成果が発表された。その内容は、特定の金属塩化物と金属酸化物からなる高温の溶融塩にCO2を投入し、電解を行うことで、アセチレンの主原料であるカーバイドが合成できることを発見し、このカーバイドと水を反応させることでアセチレンを生成することが可能、だとする。CO2リサイクルによるCNに向けた技術の一つだが、こうし研究は各所で様々に数多く行われており、今後の技術革新に期待したい。そして、自らは2030年、2050年に向け、出来ることを、出来るだけ行う、ということである。CNは地球の未来とともに、当然に日本の未来もかかっている。
註
- 1)2020年、EDMCエネルギー・経済統計
- 2)2021年、資源エネルギー庁HPより
- 3)2023年6月、総合エネルギー調査会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会資料より
- 4)2021年、国土交通省における地球温暖化緩和策の取組概要より
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■令和6年 建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰
松本一彦氏が受賞
令和6年7月10日
令和6年度建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰を松本一彦氏(栄進工業㈱)が受賞しました。松本氏は、九州・沖縄地区のガス圧接継手の認知度を高め、設計事務所、ゼネコンとのネットワークの構築に尽力しました。その功績が認められての受賞となりました。
受賞のことば
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この度、令和6年度建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰の受賞の栄誉を賜り全圧連役員はじめ関係各位に心より感謝申し上げます。
1984年圧接業界に携わり40年が経過しました。栄進工業㈱に入社した18才当初はガス圧接の接合原理もわからず先輩からの「仕事は見て盗め」と指導を受け、補助作業から経験を積み手動ガス圧接1種から3種まで取得しました。その当時は「俺が1番の圧接屋」と自負していましたが組合活動の圧接技術勉強会・養成講座・技能大会・管理技士会などへ参加するようになり、ガス圧接の固相接合や密着の重要性を知り「ガス圧接の奥深さ」と高度な技術であることを学びました。ご教授いただいた先輩諸氏と同業者に心から感謝申し上げます。
これからもガス圧接の技術は日進月歩で進化し続け、社会から業界から求められる技術の研鑽と人材確保・育成が必要です。今回の受賞に恥じぬよう全圧連のリーダーとして組合企業の社業発展と技能者の地位向上を目指し尽力して参ります。今後共、関係各位のご指導ご鞭撻をお願い申し上げ受賞の御礼とさせて頂きます。
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■インドネシアで鉄筋継手の初の講義、
スマランで5団体職種説明会を開催
令和6年6月26日
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6月26日、インドネシアのムハマディア・マラン大学内にあるOSSI建設研修センターで鉄筋継手の講義を行いました。この講義はガス圧接継手に興味ある方、既に内定をもらっている方に、より具体的に鉄筋継手を学んでもらうために実施しました。講義内容は鉄筋継手Ⅰ・Ⅱ・Ⅲと高分子天然ガス圧接の作業手順。受講生は23名、講義は東海ガス圧接㈱の宮口氏が行いました。講義内容は、鉄筋継手の概論、ガス圧接技量資格、建設現場の安全衛生について学びました。
6月29日、全国鉄筋工事業協会、全国圧接業協同組合連合会、日本型枠工事業協会、全国コンクリート圧送事業団体連合会、日本塗装工業会の5団体がスマラン(インドネシア)のホテルアストン イン パンダナランで職種説明を開催しました。参加者30名、工業高校の学生が参加しました。
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■田中紹雄氏が優勝(国土交通省九州地方整備局長賞)
第10回西圧協ガス圧接技能大会開催
令和6年3月24日
西日本圧接業協同組合
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左から、尾崎さん、斎藤さん、 田中さん、白坂さん、麻生さん |
西圧協は令和6年3月24日、「第10回西圧協ガス圧接技能大会」を福岡県職業能力開発協会で開催した。10社14人がガス圧接の技術を競い、大野ガス圧接㈱の田中紹雄氏が優勝(国土交通省九州地方整備局長賞)、準優勝(全国圧接業協同組合連合会会長賞)白坂豊明氏(㈱熊本圧接)、3位麻生隆治氏(㈱九州ワーク)、4位斎藤大樹氏(㈱サンエーテクノ)、5位尾崎魁飛(栄進工業㈱)が栄光に輝いた。
開会式で大会実行委員長の松本理事長は、「鉄筋継手の主力はガス圧接であり、使われ始めて70年以上となる。その技術を高めるには日々の教育訓練が必要。今日はその成果を十分に発揮して頑張ってほしい」と激励した。
優勝した田中紹雄氏は、2022年第8回大会で4位「悔しい思いをしたが、今回優勝できてうれしい」と喜ぶ一方、「自分だけではなし得なかった。忙しい時間を縫って練習に立ち会ってくれた社長や先輩の協力があってこその結果」と感謝する。また「今回の結果に満足せず、研さんを積み、日ごろの業務では品質重視の現場施工に努めたい」と意欲を見せていた。
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第10回西圧協ガス圧接技能大会の役員、選手の皆さん |