特定技能外国人情報

建設分野における特定技能制度の改正について

国土交通省
不動産・建設経済局 国際市場課

1.はじめに

建設業は、少子高齢化による生産年齢人口の減少がより深刻な産業の一つです。建設業への入職者数は産業規模に比較して低水準が続き、年齢構成においていびつな産業構造となっています。令和3年現在、建設技能者309万人のうち25.7%に当たる79.5万人が60歳以上である一方、30歳未満は12.0%に当たる37.2万人にとどまります。

こういった現状を踏まえ、建設分野では、生産性向上と国内人材確保の取組を最大限行ってもなお不足する人材を確保するため、平成31年4月の制度導入時から特定技能外国人の受入れを開始しました。

また、建設分野では、技能実習制度において、他分野に比して、多くの失踪者や法令違反を出したことの反省に立ち、建設業固有の特性、すなわち、従事する工事によって建設技能者の就労場所が変わるために現場ごとの就労管理が必要となることや、季節や工事受注状況による仕事の繁閑で報酬が変動するという実態を踏まえて、建設分野固有の上乗せ措置を設け、外国人材の適正な受入れを業界全体で推進する体制のもとで制度の運用を行っており、令和4年6月現在、8,492人の1号特定技能外国人が建設現場で活躍しております。

2.改正の背景

特定技能制度創設当時、建設分野においては、専門化が進んだ建設業界の実情を重視するとともに、技能実習からの移行も円滑になされるよう、関連専門工事業団体の声も踏まえて、技能実習実施職種のうち、深刻な人手不足への対応の必要性が高いと認められた職種について、特定技能外国人の受入れを開始しました。その後、技能実習実施職種以外の業務も含め、関連専門工事業団体の声も聞きながら、新たに受入れの必要性が認められた業務について追加を行い、令和2年2月以降、19の業務区分で特定技能外国人の受入れを行ってきたところです。

しかしながら一方で、このように専門分化に個々に対応した制度は、1人の技能者が関連性のある複数の業務に対応することが一般的である地域の中小の建設業の人手不足に十分対応できる制度となっていない実態が明らかになってきました。また、特定技能制度の活用を新たに希望する工事業の増加も認められたところです。

このような状況に鑑み、令和4年8月30日に閣議決定された「建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」では、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」で掲げる「中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応する」という特定技能制度の趣旨も踏まえて業務区分を抜本的に見直し、地方を中心とする多能工の人手不足により的確に応えられる制度へ改正されました。

3.主な改正事項

(1)業務区分の統合

従来、19に分かれていた業務区分を、業務の性質を踏まえて「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分への統合を行いました。【資料1】

(2)対象範囲の拡大

これまで特定技能の受入れ対象業務区分に含まれていなかった技能実習職種を含め、建設業に係るすべての作業を新業務区分に分類しました。【資料2】

4.業務区分統合に係る留意点

(1)業務区分と従事できる工事業の考え方

在留資格上の業務区分は、作業の性質をもとにした分類であり、作業現場の種類による分類ではありません。そのため、従事する作業については、現場を問わずに実施可能です。また、同一業務区分内の作業であれば、他の工事業に係る作業であっても従事することができます。

したがって、認定を受けた在留資格に含まれる工事業であれば、現場の種類を問わず、従事することが可能となります。鉄筋継手工事においては、鉄筋工事業に含まれるため、土木区分もしくは建築区分のいずれかの業務区分であれば、当該工事の業務に従事する事ができます。

(2)業務区分統合に伴う手続きについて

従事させる作業を追加又は変更する場合には、従事させる作業について、同等の技能を有する日本人と同等以上の報酬になるよう昇給を行うことが必要となる場合がありますので、雇用契約書を新たに締結するか、基本賃金等に係る変更契約を行ったうえで、外国人就労管理システム上で基本給の変更届出を行う必要があります。

資料1 【建設分野】業務区分の統合
資料1 【建設分野】業務区分の統合
資料2 業務区分と従事できる工事業の考え方
資料2 業務区分と従事できる工事業の考え方
特定技能業務区分 - 建設業許可 対応表
特定技能業務区分 - 建設業許可 対応表