■SD490ねじ節鉄筋技術講習会初年度を終了して
平成27年1月9日
SD490太径鉄筋講習委員会 委員長 宮口茂樹 |
全国圧接業協同組合連合会では、全国5地区で座学と実技を含めた技術講習会を開催した。この講習会は作業標準(案)の妥当性の確認と全国の技量者からのフィードバックを目的としている。全国の講習会開催に先立ち各地区で指導にあたるOJT指導員は6月19日から3日間富士教育訓練センターにおいて指導要領等の検討を行い全国同一レベルで指導が行えることを確認した。この作業標準(案)の特徴は、ふくらみの直径が1.5d以上を確保しながらふくらみの長さを1.6d~2.0dとなるような極端になだらかなふくらみ形状を目標としている点である。その結果、多段アップセット法の採用となっている。幅焼操作は多段のため油圧が数回に渡って下限値に達し加圧器が起動する毎に幅焼範囲を更に更にと広げてゆくバーナーワークが必要となる。ここで重要となるのは接合のポイントである。焼幅は広い程圧接面に加圧力が集中しにくくなる事が考えられ圧接面破断が心配される。そこで広い幅焼を行う前、すなわち密着工程直後の段階で1d程度の幅焼を行った上で1.2d~1.3dのふくらみを形成する。鉄筋の縮み量として10㎜~15㎜である。ここで接合の為の加熱と加圧を完了させる。後の工程である多段アップセットはHAZ破断の防止と規定値に向けてのふくらみ形成工程となる。この考え方は1980年大井一郎、袴田定雄、斉藤鉄夫、須山忠市等の先生方によって研究が開始された三段アップセット法の基本理論に基づいている。さて技術講習会は9月28日に関東地区をスタートし中日本、関西、西日本と続き11月9日の北海道地区で終了した。参加人数は合計118名にのぼりSD490、D38ねじ節鉄筋は各地区の市場性の高い製品を使用した。一名が5本圧接し合計590本を曲げ試験と破面確認試験を行った。118名中105名は全数合格となった。尚、破面試験による大きなフラットは確認されていない。第一回目の講習会でもあり多くの技量者が、戸惑う場面もあったが105名の合格は良い成績でありOJT指導員の指導方法も適切であったと思われる。後日OJT指導員は富士教育訓練センターにおいて作業標準(案)の内容を再確認し指導方法についても再度検討を行った。検討事項としては幅焼を広げていく際のバーナーワークの数値化である。バーナーの動く速度・両端に停める時間・中央部分の加熱の程度等々である。これらについては使用するバーナーがリング・角カニ・ゾーン等それぞれ異なる。ゾーンについては袖火の角度と火口数にもよるため鉄筋の色調変化を読む力を各々が養う必要がある。継手協会の標準仕様書にはアセチレンフェザー長さは鉄筋の中心まで届く長さとしている。これは圧接界面メタルフローと圧接性研究小委員会による雰囲気ガス分析結果によるものであり、各バーナーで推奨条件が出ている。供給ガス比としてはC2H2/O2で1.4~1.2が全バーナーの最良条件となっている。この比率の火炎は1.25R程度となり鉄筋温度が700度から1200度までの全ての温度で還元領域である。この火炎は炭素が鉄中に浸入する浸炭現象を発生させ界面の還元効果が大きくなる。しかしこの火炎で長時間加熱を続けると鉄筋表面の熔け落ちがあり圧接部冷却後にたれとして残りやすい。そこでたれを最小限にする方法を討議した。現段階での最良案は、密着を確認した後は僅かづつ酸素流量を増加させ0.75R程度の火炎で1.2d~1.3dまで加圧を行うこととした。但し0.75Rは殆ど還元能力が無いので初めからこの火炎で圧接することは禁止した。圧接工程管理は数値(データ)で表現する。ガス圧力、上限圧力、下限圧力、圧接時間、多段による中間時間等々のデータである。しかし、全ての圧接データは定められたガス流量(火力)が基本となってくる。現場では流量計を覗きながらの作業は出来ないが、教育・指導・実験研究等ではガス流量を計測し把握する手法を「圧接屋の文化」として培っていきたい。2年目の27年度の講習ではそれらの機器を使用しての講習が出来たら良いと思う。
SD490の講義をする宮口委員長 | 関西協のSD490太径鉄筋技術講習会 |
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■平成26年度建設マスター受賞
平成26年10月10日
建設マスター受賞者(左から向井さん、浜崎さん、工藤さん) |
平成26年10月10日メルパルクホールにおいて、国土交通省の優秀施工者国土交通大臣顕彰者授賞式典が開催され389名の方が受賞されました。全圧連では、工藤進一さん((株)川島ガス圧接)、村下圭助さん(北陸ガス圧接(株))、浜崎仁さん(近畿圧接(株))、向井義孝さん(平木工業(株))の4名の方が顕彰されました。今後より一層のご活躍を期待しております。
受賞の感想
(株)川島ガス圧接 工藤 進一
平成26年度・国土交通大臣顕彰を頂き、全圧連の関係者の方々、弊社社長をはじめ社員の方々、また、今日まで私と接して下さった方々に厚く御礼を申し上げます。
また、私をこの圧接という世界に導いてくれた亡き父に感謝しております。私が初めて圧接を目にしたのが、30年前の15歳の時でした。父の手伝いに行き、とても熱く重いと言うのが正直な気持ちでした。その当時から父は『圧接は重要な継手』と良く言っており、たいした資料も無いなか、今とあまり変わらない事を私に言っていました。
その教えを自分なりに守ってきたからこそ現在があるのだと思います。
まだまだ学ぶべき事は多々あります。
今後も、その教えを守りながら施工を行い、鍛練していきます。
近畿圧接(株) 浜崎 仁
この度は、建設マスターを受賞させて頂くことになり、全圧連の事務局の方々には多大なご尽力を頂き、誠にありがとうございます。
この業界に入り長年にわたり技術に携わって来た者として、同じ志を持つ仲間たちと切磋琢磨してきたことが、今日の自分をつくってきたような気がします。
代表者になった今、この技術の伝承に注力し圧接の品質向上を推進していくことが、私の使命だと考えています。
この賞に恥じないよう、これからも邁進していきたいと思います。
業界各関係者の皆様へ、感謝の気持ちを込めて申し上げます。
ありがとうございました。
平木工業(株) 向井 義孝
この度は、全圧連をはじめ関係各位の推薦を頂き、建設マスターを受賞することができ身に余る思いです。本当にありがとうございました。この賞を受賞できたのも、会社の上司や同僚、お世話になっている関係者皆様の良き指導、支えがあっての受賞だと思います。改めて感謝とお礼を申し上げます。
これからは、建設マスターの賞に恥じないように、今まで以上に技術、技能を磨き、顧客の信頼を得られるよう努力して、圧接工事業の地位の確立に努めていければと思います。
北陸ガス圧接(株) 村下 圭助
この度は、平成26年度建設マスターという栄誉ある賞をいただくことができ大変光栄に存じます。誠にありがとうございます。このような賞を受賞できたのも、私をこれまで指導し推薦してくださった社長はじめ、専務、社員、全圧連の方々、関係者の皆様のおかげと思っております。心から感謝しております。
後もこの業界、会社に貢献できるよう、建設マスターいただいた者としての自覚と責任を持ち、ガス圧接技術の向上を図るとともに、若手社員の教育、指導に努力していきたいと思っております。
今後とも皆様のご指導よろしくお願いいたします。この度は、本当にありがとうございました。