全圧連の動き(令和2年度)

■建設分野の特定技能外国人材の受入について

令和3年1月31日
事業部長 森島 靖人
一般社団法人
建設技能人材機構(JAC)
事業部長 森島 靖人

令和3年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

旧年中は、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の特定技能外国人材受入れ事業の推進にご支援・ご協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

心より感謝申し上げます。

既に「全圧連」の皆さまに於かれましては、第7次構造改善計画をスタートされ、「働き方改革=若年層、外国人材の確保・育成」というビジョンのもとに、喫緊の課題としての処遇改善に取り組まれると共に、技量者の減少に対してもアジアの国々から外国人材の受け入れを積極的に推進されるご姿勢に敬服いたしております。

その取組に関しては建設分野の中でもトップクラスであり、国交省からもお褒めの言葉をいただいており、私共と致しましても大変光栄であり心強く感じております。

さて、JACでは、ベトナム国において全分野に先駆けて最も早く技能評価試験を実施すべく、2019年9月にはベトナムの建設短期大学など5大学との業務提携覚書を締結、11月には試行的試験を実施、2020年にはベトナム建設短期大学での技能デモンストレーションなど、技能評価試験の適正な実施に向けた各種調整を鋭意進めてきたところでです。しかしながら新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大によって一時、休止を止む無くされました。特にフィリピンでの技能評価試験は、実施直前のマニラ市街の封鎖によって試験実施を断念せざるを得ませんでした。

ところが、その後は幸いにもベトナム国での感染状況は、世界的にも驚くほど感染者数が少なく、早期に二国間の関係機関との協議が再開出来たことで2020年8月にベトナムの海外労働管理局から承認された2つの送出機関との労働者提供契約を締結することが出来ました。今後は、更に付属書などで細部を協議してベトナムでの日本語、技能訓練を確実に進めて本年7月の技能評価試験実施に向けて、国土交通省及び関係機関、専門工事団体と協力して準備を整えてまいります。

そして、受入企業の皆さまからの求人におこたえしスピード感をもって、出来る限り早くマッチングを開始するよう計画しております。

その一方、海外国のほとんどがロックダウンなどの感染拡大での厳しい規制を発出していて、技能実習を修了した外国人の中には帰国が出来ない方々がたくさんいらっしゃいます。この方々に対して技能実習期間を延長する措置がとられていますが、受入企業さまには技能実習から特定技能1号への在留資格の切り替えをお願いしているところです。

切り替え手続きに時間が掛かる場合でも、4か月間は特定活動の資格で就労できるような措置を講じていますので、安心して切り替えの手続きをお願いいたします。

また、国内での技能評価試験の実施は、2020年に「鉄筋継手」職種を含む4職種を開催して予定以上の受験者数となりました。この時期において国内試験での大きな手ごたえを感じておりますので今年は、職種を増やして実施を予定しております。

JACは、特定技能外国人受入事業実施法人として、適正かつ円滑な受入れの実現に向けた建設業界共通行動規範の適正な運用、海外での教育訓練及び技能評価試験の実施、特定技能外国人に対する職業紹介事業などの事業を着実に展開してまいりますので、引き続き皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

最後になりますが、「全圧連」の皆さま方の今後のますますのご活躍と社業のご発展を心からお祈り申し上げます。

建設分野特定技能1号評価試験(富士訓練センターにて)
建設分野特定技能1号評価試験(富士訓練センターにて)
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■【2021新春対談】withコロナの時代の活動
 新しい全圧連を求めて

令和3年1月31日
withコロナの時代の活動

2021年もコロナ猛威が吹き荒れる中、緊急事態宣言で幕を開けました。

コロナ禍の中での組合運営はいかにすべきか、過去の経験が通用しないwithコロナの時代。新しい生活様式が求められている時代での組合運営とは。大場会長をコーディネーターとして、副会長、単協理事長をWEBでつなぎ、抱負、今後の活動、コロナ時代の組合の在り方について対談を行いました。


 全国圧接業協同組合連合会 大場毅夫会長(以下、大場)

今日、お集まり頂いている方々の地元は、緊急事態宣言が出ているところですね。

まずは、このコロナ禍に負けないよう各単協の抱負を聞いていきたいと思います。松本理事長に一番最初にお願いしようかな、では松本さん。

 西日本圧接業協同組合 松本一彦理事長(以下、松本)

昨年はコロナ禍の中、養成講座とか採用についての活動ができなかったことを踏まえて、今年は若手の採用、育成をいかに進めていくかということを掲げております。それについて昨年末、技術指導員を中心に若者を業界に取り込むために養成講座のビデオを作成することにしております。

それともう一点、技能大会を毎年、西日本独自で開催していたんですが、それも昨年できませんでした。これについても今年はコロナ対策を取ってなんとか開催したいと考えています。

全圧連については、昨年打ち出しました第7次構造改善計画の核となる総合鉄筋継手業の取り組みが急務になるかと思います。機械式継手、溶接継手にも、今まで培った技術やノウハウを反映し、技術者を育成し、新しい会員を増やすことが全圧連の課題ではないかなと思います。

大場 はい、どうもありがとうございました。前向きな意見をたくさん頂き、非常に頼もしいです。

それでは続きまして関西の足立さん、お願いします。

 関西圧接業協同組合 足立真規理事長(以下、足立)

非常に松本さんの後はやりにくいですね。

足立真規理事長
足立真規理事長

コロナの一年になったわけですけども、定例会はもとより営業マン会議ですとか、納涼大会、忘年会、すべて中止になりました。その中で唯一対策をしながらやったのが出前講座です。出前講座の報告などで、なんとかコミュニケーションを取れているという状態です。

現在、関西はオブザーバーも入れまして18社います。この18社でコロナ禍でもしっかりやっていくというところです。今忙しいところ、まだ忙しくなってないところさまざまで、組合の18社の中で仕事量の分け合いといいますか、あるところへ応援に行くというようなことで、組合にいればなんとかこの一年食いっぱぐれがないよう、コミュニケーションを電話やウエブでとりながら、この18社でやっていくぞ、ということが抱負です。

大場 はい、ありがとうございました。それでは中日本の嘉藤さん。

 中日本圧接業協同組合 嘉藤理事長(以下、嘉藤)

中日本としましては、1月12日リクルート活動で、高校生100名位の職業体験開催が中止になっちゃったんです。あと去年の終わりに300名位の高校生の職業体験もあったんですけど、それもこのコロナの影響で中止になってしまいました。西日本の松本理事長さんも言われていたんですけど、若手の育成と業界全体の若返りと、去年辺りから言っています中日本はリニア関係で押抜工事が大量に出てくるということです。D51も押抜工事ができるんだと視野を広げてですね、世の中にイメージアップというんですか、そういうものにチャレンジして、がんばりたいなと思っております。

大場 はい、ありがとうございました。それでは北海道の大嶋さん。

 北海道圧接業協同組合 大嶋忠裕理事長(以下、大嶋)

北海道組合といたしまして活動は、毎年出前講座を通じていつも高校と大学に行ってはいたんですけども、今年はコロナで中止となりました。

今年は、CB工法の溶接エンクロの講習会を開いて、総合鉄筋継手業として組合員の皆さんが資格を取りやすいように進んでいこうと、このように組合の活動をやっていきたいと思います。また、新幹線工事が始まってきてるのと、外国人の来るニセコのホテルの建設が徐々に動いてます。それをいかに圧接にするか、またわれわれが仕事を取っていけるようにPR活動をして、組合員みんなが仕事を多くできるようにと考えております。

 関東圧接業協同組合 大場毅夫理事長(以下、大場)

関東は、去年、組合創立50年ということで、50周年記念事業を計画しておりました。しかし、コロナの影響で50周年記念式典が中止となりました。せめて、50周年に残るものということで記念のバッジを作りました。それを皆さんに配布することから始めようと、コロナ禍で希薄になった連帯意識をWEBを使ったイベントを企画して、連帯を強めていこうというのが今年の目標です。

大場 コミュニケーションをとってと、足立さんが言われてましたけど、組合員を増やすことですね。名古屋の嘉藤さんも、そういう発言をしてくれました。やはり、組織率を上げるということが一番のことかなと思います。全圧連の活動で総合鉄筋継手業、若年者雇用、外国人材育成、処遇改善などについてお話しください。では、西日本の松本さんのほうから。

松本一彦理事長
松本一彦理事長

松本 先ほども、全圧連の取り組み、今後について申しました。一つ目は総合鉄筋継手業への取り組み、二つ目が若年者へのリクルートと採用についてです。我々、業界は総合鉄筋継手業として、ゼネコンさん、発注者、設計事務所へPRをもっともっとやるべきではないかと考えております。

もう一点は、各団体、建設業界、国の指導を受けて働き方改革を進めている最中です。まずは各社の処遇改善をすすめ、そして協力会社を含めた処遇改善を行うことが、若年者を受け入れるために急務だと考えています。僕が思うに全圧連の今後については、その点を重点的にできたらいいんではないかと考えています。

大場 ありがとうございます。ストライクですね。それじゃ足立さんいかがですか。

足立 まとめて話させてもらいます。総合鉄筋継手業は、日本鉄筋継手協会とともに進めていかなければいけないと思います。あと、協会にお願いしたいのは若年層が入るという部分を含めて、全ての継手に関して資格を取得したあと、保持するのに費用がかかり過ぎるので、もう一度整備していただきたいなと思っております。

大場 今業界に望むことは処遇改善ですね。キャリアアップシステムも、皆さんと足並みをそろえて進めていってもらいたいと思っています。

大場 はい、非常にいいボールがつながって濱野さん。濱野さん、ここで一言言いたいのは、多分、業種独立の件だと思うんだけど、いかがですか。

濱野 まあ、今、会長がちょっと喋りかけた。要は鉄筋継手業としての業種の独立ですよね。それについては、今年もそれに向かって前に突き進む。全鉄筋さんとの連携も強化する。その中で許可をもろうにはやっぱり各方面の方々としっかりしたパイプで意見交換をすることが当然必要になると思うんで、引き続きやっていかなならんだろうと思ってます。

大場 はい。じゃあ名古屋の嘉藤さん。

嘉藤 松本さん、足立さん、濱野さんが言われたことと、僕も一緒の想いです。

圧接はやっぱり現場であぶれるようになるには、最低3年から5年位かかります。それが1年くらいの教育ではできないです。仕事の楽しさ、喜び、満足感と、厳しいだけじゃなく、ものづくりの楽しさを、そこからモチベーションが上がってくると思うんです。外国人の労働者の方は、日本に来て自分が役に立てたという思いを与えられることが少しでもできれば、この建設業界も明るい未来があるのかなと思います。

大場 はい、ありがとうございました。では、北海道の大嶋さん、お願いします。

大場毅夫会長
大場毅夫会長

大嶋 はい、皆さん言われた中で、若年者関係がありましたが、北海道は冬がやっぱり一番の問題になってくる。夏場は仕事がある程度あっても、冬場がほぼ止まってしまう。人材を育てるのは厳しい状況になってきていると思います。若い人たちが地方に出るのを嫌っている中で、待遇を少しでもよくして、こういうものづくりが大事なんだと認識してもらい、雇用をすすめていくのが一番だと考えております。

大場 コロナの影響もあり様々な不安があります。しかし、全圧連は総合鉄筋継手の確立に向けて、前向きに取り組んでいきたいと思っています。全組合員と連帯して継手の地位を高め、鉄筋継手といえば全圧連と言われるように頑張っていきたいと思います。

 どうぞ皆さんも全圧連とともに『コロナに負けるな No attack No Chance』

皆さん、ご協力いただきありがとうございました。

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■圧接業の処遇改善に向けて
 標準見積書の改定について

令和3年1月31日

全国圧接業協同組合連合会
専務理事 中村 真也

建設業の魅力向上に向けて、技能者ひとり一人の技能と経験を認め育てるために建設キャリアップシステム(以下、CCUS)が2019年4月にスタートし、同年12月には圧接継手業も技能者に応じた4段階のレベルに分けた能力評価基準を策定しました。

CCUSには建設業に従事する技能者の処遇改善も重要な要素と位置付けられおり、その一環として業種毎に技量者レベルに応じた目標年収額を提示しています。全国圧接業協同組合連合会(以下、全圧連)も技能や経験が適切な収入として評価されることで若年者や長きにわたり業界に携わった技能者にとっても魅力ある職種となることを目指し、レベル1から4の年収を360万円から840万円として策定しています。

この度、メディアでも報じられていますが処遇改善実現への取り組みとして、先行的に専門工事業7業種及び元請側団体等をメンバーとしたWGが国土交通省所管で発足しました。これに全圧連からも参画しています。2020年11月に開催された同WGにおいて、2021年3月末の完了を目標として専門工事業の標準見積書の改定に着手することになりました。

現在、各専門工事業団体において既に作成されている標準見積書では必ずしも技能者のレベルに応じた労務費が反映されているとは言えず、先に策定された目標年収とは乖離することとなります。適切な労務費が反映された見積書を標準化することで目標とした収入を技能者が得ることを可能にするのが改定の大きな理由です。同WGでは見積書に計上する労務費に「マネジメントフィー」という概念が提示されました。

「マネジメントフィー」は評価基準に定められたレベル3・4の技能者の管理能力に対する対価として位置付けられています。これは工事を円滑かつ予定どおりに進めるための調整能力即ち管理能力を有している技能者であることから管理能力に応じた対価を得ることは妥当であるとの判断に基づくものです。

その結果、レベル3・4の技能者は、一般的な技能者が得る労務費に加えて「マネジメントフィー」を付加した労務費を計上することが改定の大きなポイントとなりました。

しかし、「マネジメントフィー」は業種により異なる請負形態や作業グループごとの職長配置比率などの要素により、全業種統一的な金額を設定することは実態にそぐわないことから各業種の実状に合わせた算出し、策定する必要があります。

WGでは「技能者の処遇改善推進には賛同するが労務費が増加することから発注者の理解も必要となる」との懸念もありましたが、国交省側からは「今回のマネジメントフィーを含めたものが適正な工事原価として認識してもらう必要がある」との見解を示しました。我々には心強い発言ですが、マネジメントフィーは技能者に届かなければ意味がないとも併せて発言されていました。

全圧連はWGでの方針をうけ、レベル1から3の平均年収とレベル3・4の平均年収との差額を一日あたりに換算し、マネジメントフィーを策定しWGに報告しました。このマネジメントフィーを含めた標準見積書を会員企業へ普及推進するためには、今回算出した1日あたりの金額の他に施工数量に応じたマネジメントフィーも算出し、会員企業が活用しやすいフォーマットとなるよう改定を進めていきます。

新しい標準見積書は、従来の「法定福利費」に加え「マネジメントフィー」も別枠明示するために継手施工に必要な労務費が明確かつ適切に計上されることになります。

新たな概念を盛り込んだ労務費は、元請であるゼネコンや発注者と、専門工事業側の共通理解が不可欠ですが、工事量の減少が見込まれる今後、処遇改善は技能者及び企業の金銭的利益向上のみならず業態存続への礎石として取り組むことが重要です。

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■第7次構造改善計画を語る
 5年後のあるべき姿 総合鉄筋継手への道標

令和2年7月10日
全国圧接業協同組合連合会 会長 大場毅夫
全国圧接業協同組合連合会
会長 大場 毅夫

第7次構造改善計画は、2020年東京オリンピック開幕で日本中が沸く中、スタートする予定だった。しかし、2020年1月に中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウィルスは、瞬く間に世界中に広がりWHO(世界保健機構)はパンデミックと宣言した。日本ではクラスターが発生し、オーバーシュートの極限状態となった。東京はロックダウン寸前となり、日本全国に緊急事態宣言が発出された。新型コロナウィルスの影響で2020年東京オリンピックは延期となり、日本経済は大打撃を受けている。

今後、GDPはリーマンショック後の年率マイナス17.8%を超え、記録的な落ち込みになるという予測をしている。そんな中での第7次構造改善計画の船出となった。

この5ヵ年は、業界にとって大きな転機を迎えることになる。溶接継手、機械式継手を取り込み、総合鉄筋継手業としての地位を確立し、外国人材を受け入れ、外国人技量者を育成して継手の将来について共に考えていかなくてはならない。まさに継手業界の変革と国際化の時代となる。

第7次構造改善計画の基本方針にあるように、我々は常に技術集団であらねばならない。技術=品質は我々の根幹をなすものである。その精神は第1次構造改善から脈々と流れ、第7次の4つの経営戦略化ビジョンに受け継がれている。

第7次構造改善計画
『信頼できる技術集団をめざして 総合鉄筋継手業の行く先』

「信頼できる技術集団をめざして」を第7次構造改善計画のメインテーマとして、サブテーマに「総合鉄筋継手業の行く先」を掲げ、全国圧接業協同組合連合会(以下、全圧連)の5年後のあるべき姿を想定して事業を展開する。

令和元年7月、全圧連はガス圧接業から全ての継手を取り扱うために鉄筋継手業へ定款を変更し、総合鉄筋継手業への転換の第1歩を踏み出した。今後、総合鉄筋継手業としての地位を確立するための経営戦略化ビジョンとして、「顧客満足の拡充」、「総合鉄筋継手業としての体制づくり=鉄筋継手業として業種独立」、「働き方改革=若年者、外国人材の確保・育成」、「技能者の育成」を掲げ事業を展開していく。

経営戦略化ビジョン

1.顧客満足の拡充

常に顧客の要求に応えるために我々は継手のエキスパートであらねばならない。顧客の求める施工に対して的確にアドバイスを行い最適な技術を提供する。あらゆる環境下において施工できる技術と品質を維持することが求められている。

継手にとって品質は命である。溶接継手、機械式継手の検査JISが施行され、3つの継手の検査体制が整った。継手の品質を維持していくために『検査体制の構築』に業界全体で取り組んで行かなければならない。

また、品質を確保するためには適正価格での受注が重要な課題である。限度を超えたダンピング受注は競争原理を逸脱したものであり、存続に係る重要な課題である。業界として関係団体に理解を求めなければならない。

2 .総合鉄筋継手業としての体制づくり=鉄筋継手業として業種独立

総合鉄筋継手業に向けた動きは、市場の縮小と技量者の減少と相まって、継手業界は生き残りをかけた大きな転換期を迎えている。

構造物が大型化、高層化に向かえば、より高い品質の継手が求められる。そのためには鉄筋継手工事として継手の工程を確保して品質を高めていくことが重要である。

しかし、現実は生産性の向上の名のもとに工程を少なく、省力化、省人化の方向に進んでいる。継手施工は配筋工程の中で行っているのが現実である。ひとたび工期が遅れると継手の工程を持たない我々は工期圧縮の材料となる。品質よりも工期優先となり、品質の確保のため継手の工程を訴える機会もないのが現実である。

現在、業種区分において、鉄筋工事は鉄筋加工組立て工事と鉄筋継手工事の2つに分類されている。鉄筋継手工事として業種独立することで継手の技術を守り、次世代に継承していくことができる。総合鉄筋継手業に向かう我々にとって、業種独立はターニングポイントとなる。

3 .働き方改革=若年者、外国人材の確保・育成

圧接業界の技量者の年齢ピークは47歳である。10年後、この状況下では技量者は4割近く減少してしまう。現在、国土交通省が取り組んでいる特定技能外国人も日本が直面している人手不足を解消するための施策である。

しかし、根本的に人手不足の背景には人口減少だけでなく、賃金問題も内在している。そこに働き方改革で4週6休、4週8休となり、労働日数が短縮されれば、給与の出来高制による部分は減収となる。年々、深刻化する人手不足に追い打ちをかける若年者の業界離れ、歯止めをかけるためにも処遇改善が喫緊の課題である。

今後、この状況が続けば技量者の減少から圧接継手はマイノリティの継手になってしまう。そうなれば技術継承どころか、施工体制を組むことすらできなくなる。この状況から脱するためにも業界が一丸となって、処遇改善に取り組まなくてはならない。

4.技能者の育成

鉄筋継手専門の技術集団、これは我々に課せられた使命である。顧客のニーズを把握し、継手の技術を駆使して最高の製品に仕上げる。高い技術力を持った集団として、そこに活路を見出していく。そのためには品質を維持するための技術、その技術を支えるための知識が不可欠である。常に教育の機会を設け技術の研鑚を行い、高い技術を持った技能者を育成していくことが、業界の責務である。


このように、第7次構造改善計画では総合鉄筋継手、適正価格、業種独立、処遇改善について具現化した事業を展開し、次世代へ継手をつないでいくために、我々は行動を起こしていかなければならない。

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