■令和5年 建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰 草間 孝氏が受賞
令和5年7月10日
和5年度建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰を受賞しました。草間氏は岩谷瓦斯㈱との共同開発による次世代の燃料、水素エチレン混合ガスによる圧接継手の実用化に成功し、その功績が認められての受賞となりました。
受賞のことば
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この度、令和5年建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰の受賞にあたり、全圧連をはじめ関係者各位にご尽力を頂き受賞することができました。
親子二代にわたり建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰を受賞させていただき身に余る光栄と存じます。今年、還暦を迎え節目の年に受賞させて頂き感慨も一入でございます。また、圧接業界とゆかりの深い斉藤鉄夫大臣よりこの賞を頂戴することに、心より感謝申し上げます。
父、草間友一より会社を引き継いでから20年余、継手の要求事項も変化してまいりました。品質はもとより地球規模での環境問題に取り組み、また次世代の担い手確保など、様々な課題に取り組んでいく所存でございます。
微力ながら業界発展のために尽力いたします。皆様のご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。
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■一人親方とインボイス制度
二者択一の決断について
令和5年7月31日
大原大学院大学教授 熊王税理士事務所 税理士 熊王 征秀
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大原大学院大学教授 熊王税理士事務所 税理士 熊王 征秀 |
インボイスの導入まで残り2か月となりました。インボイスの時代になると、元請事業者は下請事業者からインボイスを貰わないと負担する消費税が増えてしまいます。よって、インボイスの登録をしない下請事業者との取引については、価格交渉による外注費の値下げは避けられないものと思われます。
一人親方のような下請事業者は、インボイスの登録をせずに外注単価の引き下げを受け入れるか、インボイスの登録をして従来通り消費税相当額を受領した上で申告納税するか、いずれかの二者択一を迫られているということです。
令和5年10月1日から登録を予定している事業者は、直前の9月30日までに登録申請書を提出する必要があります。ただし、インボイス登録センターがとても混み合っていますので、早めに登録しておかないと登録の完了通知が届くのが遅くなってしまい、元請事業者に迷惑を掛けるようなことにもなりかねません。登録の決断ができた下請事業者は、なるべく早く登録手続を済ませるようにして下さい。
ところで、小規模事業者がインボイスの登録をした場合には、令和5年度改正により新たに創設された「2割特例」という制度を適用することができます。「2割特例」とは、免税事業者がインボイスの登録事業者を選択した場合には、納付する税額を売上税額の2割とする制度です。よって、建設業の場合には、簡易課税制度の適用を受け、第4種事業として申告する場合に比べると納税額は半額で済むことになります。
例えば、年間の課税売上高(税抜)が600万円の場合、簡易課税による納付税額は24万円(600万円×10%×(1−60%)=24万円)となるのに対し、2割特例による納付税額は12万円(600万円×10%×(1−80%)=12万円)で済む計算になります。
簡易課税制度の適用を受ける場合には、原則として事前に「簡易課税制度選択届出書」を提出しておく必要がありますが、2割特例については届出書の提出は必要ありません。確定申告書の該当箇所にマルを付け、簡単な付表を添付するだけで申告ができます。また、簡易課税制度のような2年間の継続適用義務もありません。
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ただし、個人事業者の場合には、2割特例は令和8年分までしか使えません。よって、改正により制度が延長されない限りは、令和9年分以降の申告は簡易課税制度の適用を検討する必要があります。また、2年前(基準期間)の課税売上高が1千万円を超える場合にも2割特例は使えませんので、売上高が事業者免税点の1千万円を前後している事業者は、2割特例が適用できるかどうかということを事前に確認しておく必要がありそうです。
2割特例が適用できる年はいつか? |
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2割特例の適用を受けた個人事業者が、その翌年に簡易課税制度の適用を受けようとする場合には、「簡易課税制度選択届出書」は適用を受けようとする課税期間中に提出すればよいことになっています。たとえば、インボイスの登録をして令和5年分の申告から2割特例の適用を受けた個人事業者は、令和5年中の課税売上高が1千万円を超える場合、令和7年分については2割特例の適用を受けることができません。このようなケースでは、令和7年中に「簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、令和7年分を簡易課税により申告することができます。
(注)届出書の提出期限は令和7年分の確定申告期限(令和8年3月31日)ではありませんのでご注意ください。
また、令和6年分の課税売上高が1千万円以下となった場合には、令和8年分は再び2割特例が使えます。2割特例は、「簡易課税制度選択届出書」が提出されていても選択により適用できるということです。
「簡易課税制度選択届出書」の提出期限 |
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■巻頭言
業界の直面する問題と継手の将来を見据えて
─協会と業界が車の両輪として進む道─
令和5年7月31日
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全国圧接業協同組合連合会 会長 嘉藤 裕一 |
令和5年5月8日、コロナが「5類感染症」となり通常の経済活動に戻りつつあるところです。全国圧接業協同組合連合会(以下、全圧連)も山積している課題を1つ1つこなして、組合員の皆様のために尽力していきたいと思います。
令和4年2月、ロシアがウクライナに侵攻してから、世界のエネルギー事情、食料事情は大きく変わりました。ロシアのCNGは17%で世界第2位の産出量を誇っています。エネルギー供給バランスの崩れは製造業を直撃しました。また、ウクライナと制裁を課されたロシアという、ふたつの異なる理由で穀物の輸出は滞り、世界が食糧危機に陥っているという事実には変わりありません。
その結果、全ての物価が上がる異常事態となっており、すでに20%以上の値上げとなっている商品も数多くあります。圧接業界も値上げにともない受注単価がスライドしていけば問題ありませんが、現実は厳しいものがあります。
このような状況下、我々の喫緊の課題はアセチレンの値上げです。防衛策として、なるべく値上げの少ないエネルギーへ早期にシフトをしていくことも視野に入れて準備をしていくことが必要です。今から準備しても1年先で即座に転換できるものではなく、2年先、3年先を見据え企業体力のあるうちに決断する。あわせて、機材の購入が必要であれば、助成金をフルに活用して乗り切っていかなくてはなりません。これから様々なカーボンオフセットの燃料がでてきます。しかし、それまでに業界がどのようになっていくか、あらゆる状況を想定して、圧接というバトンを繋いでいかなくてはなりません。そのためにも受注単価の値上げを行い処遇改善を推進しなければ、ライフプランも描けない業界に誰も入職しなくなります。我々は重層構造において、常に不利な状況下にあります。この状況をご理解いただき処遇改善を進めるために北海道から西日本の5地区の理事長が連名で声明文を出すことになりました。関係各位のご理解を切にお願いする次第です。
山積する課題を解決して圧接技術をつないでいくには人材を確保することが重要です。しかし、現実は慢性的な担い手不足の状況です。令和4年の出生数は前年比6.1%減の79万9728人で、統計開始以来、初めて80万人を割り、10年早く少子化が進む結果となりました。昨年生まれた赤ちゃんが1人前になるまで20年近くかかります。少子化の日本はこれから海外に人材を求めなくてはなりません。そんな中、技能実習と特定技能外国人の統合、そして特定技能2号評価試験が11月開始予定と発表されました。これにより永住を目的とした外国人に門戸が開かれることになります。日本は諸外国の方々と共に生活し共に働き、継手の品質を守り日本の建築、構造物を支えていかなければなりません。
圧接業界も外国の方が技量検定試験を受験して1種、2種、3種、4種と技術を取得できる道を日本鉄筋接手協会と連携して開いていかなければなりません。そして5年先には家族と共に日本で暮らす、そんな将来を描ける礎を築くことが我々の責務です。
外国の方に圧接を教え、日本で学んだ技術やキャリアを自国に帰って活かすために日本鉄筋継手協会と連携して、圧接が海外で施工できるように道を拓かなくてはなりません。外国人技術者を育成することで日本の圧接から世界の「ASSETSU」へと道は拡がっていくと考えます。