全圧連の動き(令和元年度)

■業種区分「鉄筋継手」の独立に向けて

令和2年1月31日
衆議院議員 公明党 幹事長 全国圧接業協同組合連合会 顧問 斉藤 鉄夫
衆議院議員 公明党 幹事長
全国圧接業協同組合連合会
顧問 斉藤 鉄夫

立春の候、『全圧連』会員各社の皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。また、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

昨年は、「亥年の選挙」いわゆる4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙が重なる、政治にとって大きな一年でありました。全圧連の皆様方には全国各地で私ども公明党候補者への心温まるご支援を頂戴し、厚く御礼申し上げる次第であります。誠にありがとうございました。皆様方に頂きましたお声を国政、そして地方議会の場で実現して参る決意でございます。

さて、昨年11月に大場会長をはじめ、全圧連の役員の皆様に国会にお越し頂き要望を頂戴いたしました。

一つ目は、「業種区分、鉄筋継手の独立」について。今、建築物の大型化、高層化の方向に向かっており、より厳しい品質が求められております。しかし、現実には品質が根底から覆るような事象が発生しており、世界に誇る日本品質が危機的な状況に向かっていると言われております。継手のない建築物、構造物はありません。圧接は地震国日本で生まれた世界に誇れる接合技術であります。この工法を次世代につないでいくことは建築物、構造物の未来を確固たるものにしていくために、業種区分の独立は必要不可欠と思います。大変高いハードルではありますが、国土交通省と良く連携の上推進して参ります。

二つ目は「圧接業の処遇改善」について。わが国全体の就業者人口が減少するなかで、担い手の確保は全産業に共通する課題です。特に、建設業において現場を担う技術者、若年層を確保していくことは大変困難になっております。2017年のデータを見ますと圧接業界のピークは47歳となっており、100名程の技量者がおります。現在37歳の技量者は60名程しかおりません。10年後には6割近くに減少してしまうことになります。人手不足の背景には人口の減少だけでなく賃金の問題があります。2019年4月に「働き方改革法」施行により4週6休、4週8休に適した働き方に取り組むことになりました。業界の特性上、屋外での現場作業の為、天候に左右されやすく、その分出来高制による部分は減収になると伺っております。若年者が減少し労働力不足が深刻化することで、技能継承どころか施工体制を組むこともできなくなるという声も聞こえてきます。国土交通省としても特定技能外国人の就労で人手不足を解消する施策も行っておりますが、根本的には賃金の上昇なくして、労働者が増えることはないと考えております。この件も国土交通省はじめ関係省庁と連携の上、取り組んで参ります。

さて、公明党の主張により2018年度税制改正で法人向け事業承継税制を抜本的に拡充した結果、2019年には飛躍的に申請件数が伸びました。事業承継税制は、後継者不足に悩む中小企業経営者の円滑な世代交代を支援するため、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。2018年4月からは10年間の特例措置として、納税猶予の対象になる株式数の上限(従来は3分の2)が撤廃され、全株式が適用可能に。相続税の納税猶予割合も80%から100%に引き上げられ、承継時の税負担はゼロ。また、従業員の雇用維持要件が緩和されたほか、納税猶予の適用対象となる事業も拡大されました。こちらもご活用頂ければ幸いです。

本年も、大場会長はじめ皆様方のご期待の沿えるよう、全力で働いて参る決意であります。引き続きのご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

結びに『全圧連』の皆様方の今後ますますのご活躍と社業のご発展を心からお祈り申し上げます。

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■鉄筋工事業を若者の「なりたい職業」に

令和2年1月31日
公益社団法人 全国鉄筋工事業協会 会長 岩田 正吾
公益社団法人 全国鉄筋工事業協会
会長 岩田 正吾

令和2年の初春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。振り返りますと昨年は、皇位継承が行われ平成から令和へと元号が変わり、スポーツ界ではラグビーワールドカップの日本での開催と日本チームの初のベスト8進出、大阪なおみ選手の全豪オープン優勝、渋野日向子選手の全英オープン優勝、八村塁選手が日本人選手で初めてNBAのドラフトで1位指命されるなど、多くの日本の若者が活躍し、7月に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて弾みをつける成果を挙げました。一方、大きな自然災害に見舞われた1年でもありました。9月の台風15号、10月の19号は各地に甚大な被害をもたらし、今なお復旧の進まない地域もあり、自然の驚異を改めて認識させられました。

われわれ建設業界にとっても、変革を求められる大きな節目となる様々な取り組みがスタートした年でもありました。具体的には、技能者の経験や資格などを蓄積し、技能者の処遇改善の基盤となる「建設キャリアアップシステム」の本格スタート、そして建設業においては5年間の猶予があるものの、週休2日や時間外労働の上限規制などの「働き方改革」、日本の労働人口の減少に伴う人手不足を補うための「特定技能外国人材制度」など、業界にとって新たな取り組みがいくつも始まりました。さらに、「品確法」「建設業法」「入契法」が改正され、いわゆる「新・担い手3法」への対応も求められています。

中小・零細企業の多いわれわれ専門工事業にとって、どの課題も容易にクリアすることは難しい課題です。しかしながら、どのテーマもわれわれにとって最大の課題である「将来の担い手の確保・育成」には、欠くことのできない重要な課題ばかりです。

昨年2月、米国の建設事情、とくに建設技能者の採用や教育・訓練、賃金など、処遇について視察してきました。米国では、ユニオンがビルを所有し、教育・訓練しているだけでなく、賃金に関する裁量権も持つという仕組みができています。そのため、技能者は努力すれば1日あたり5万円、月に100万円、年間で1200万円の収入を得られるといいます。それだけの収入を得られるから、採用募集するとユニオンには早朝から500人くらいの求職者が集まるそうです。つまり、米国では専門工事業は「なりたい職種」です。しかし、われわれの業界はどうでしょうか。「入ってほしい職種」「なってほしい職種」なのです。そこを変えなければ次代はないと考えています。ユニオンがあるからということではなく、業界としてきちんと品質を確保できる教育・訓練を行い、その上で正当な単価、対価をもらうように取り組まなければなりません。

例えば、登録基幹技能者です。技能者は資格を取得しても対価を得られないから「取らされる資格」だと思っています。取らされる資格ではなく「取りたい資格」に変えなければなりません。そのためには所得のアップと同時に、この資格を持っているから「この仕事ができる」ということにならなければならないのです。具体的には、登録基幹技能者の現場常駐を設計図書や特記仕様書に明記するといったことです。その工事を施工するには必ず有資格者を配置しなければならないという状況になれば、資格手当を発注者や元請けに求めやすくなります。そして、安全に高品質な施工を行う優秀な技能者には年収1000万円以上の待遇を実現させ、世の中に発信すれば、若者に働きたい職業として認知され、「なりたい職業」になるはずです。

圧接業の皆さんと我々は兄弟です。手を携え、課題解決に邁進し、「鉄筋工事業」を若者に魅力のある職種とすべく、互いに努めて参りましょう。末尾に、皆様方のご繁栄を心からご祈念申し上げます。

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■人材育成元年と位置付け活動を展開
 圧接技量者の処遇改善を

令和2年1月31日
全国圧接業協同組合連合会 会長 大場毅夫
全国圧接業協同組合連合会
会長 大場毅夫

皆様、常日頃より全国圧接業協同組合連合会に対しまして、御協力をいただきまして誠にありがとうございます。

今年は子の歳、子は十二支第一番目の歳、方位は正北、季節は真冬、時刻は零時、総てに於いて新しい命が誕生する基であります。

子にはねずみが当てられます。「ねずみは災いを予知して、火災、地震、洪水などから多くの人々を護る能力を備えている。」と、東照宮の宮司様に伺いました。

昨年、令和という新しい元号となり、今年は東京オリンピックが開催される年であります。世界中の国々からお客様がお見えになり、我が国は「おもてなし」の国としてホスト役を務めることになります。

さて全圧連は、と言いますと、今年3月をもって第6次構造改善事業が終了します。この5年間は、「信頼できる技術集団をめざして」を基本方針として掲げ、2020年東京オリンピックの特需に沸く、日本を実感すると予想していました。

しかし、業界は社会保険未加入問題、機械式継手の台頭、総合鉄筋継手業へのアプローチ、外国人材の受入れと様々な課題に直面しました。また、国土交通省は、平成29年に省人化、省力化をテーマにPC (プレキャスト)化を推進し、その結果、太径鉄筋は機械式継手の独壇場となりました。

今年4月から、全圧連第7次構造改善計画がスタートします。日本では若年者の人材不足を背景に外国人材の受入れが急増しています。平成30年12月に国土交通省から、鉄筋継手(圧接継手、溶接継手)として特定技能の認定を受けました。今年は、国内外で鉄筋継手の特定技能評価試験を実施します。そして、圧接の技術を教え、彼らが習得した技術が、自国の構造物の根幹をなす技術として貢献できればと考えております。

また、昨年4月に働き方改革関連法が施行されました。同一労働同一賃金、残業時間の上限規制、年次有給休暇の取得義務化、勤務時間インターバル制度、高度プロフッショナル制度、『働き方改革』として、長時間かつ硬直的な労働時間、低賃金と不安定な雇用を是正し、労働環境の改善に積極的に取り組んでいかなければなりません。

今後、4週6休、4週8休に適した働き方にどのように取り組むのか、この底流には労働環境と賃金、応援単価と労働の平準化そして処遇改善があります。天候に左右される現場、景気に左右される応援単価、繁閑調整に左右される処遇、この3つについて皆さんが連携し、話し合うことが働き方改革の突破口になると考えています。

国土交通省も若年技能労働者を育成し、魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備、職業能力開発の促進、技能継承を最重点課題として取り組んでいますが、まだ、実感できるようになるにはかなりの時間がかかります。

昨年12月末、圧接継手も建設キャリアアップシステムのスキルアップ能力評価基準の認定を受けました。これによりレベル1からレベル4までの4段階の評価基準が整いました。今後、若年労働者の育成のためにレベル4の最高ランクに位置する技量者の日額を4万5000円に処遇改善ができるように、(公社)日本鉄筋継手協会、(公社)全国鉄筋工事業協会ならびに関係諸団体の皆様のご支援を得て、取り組んで行きたいと思います。

令和の新時代が幕を開け、干支第一番目である子歳の今年、ねずみの功徳により災いが無く、実り豊かな年になりますようご祈念申し上げ、皆様のご多幸をお祈りいたします。

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■第6次構造改善計画をふりかえって
 〜第7次構造改善計画の策定にむけて〜

令和元年10月15日
全国圧接業協同組合連合会 会長 大場 毅夫
全国圧接業協同組合連合会
会長 大場 毅夫

平成から令和に時代は変わり、全国圧接業協同組合連合会(以下、全圧連)第6次構造改善計画も令和2年3月をもって終了する。第7次構造改善計画は間違いなく次世代への継承となる。若い経営者、技量者にこの構造改善計画を引き継いでもらいたい。振り返ってみると第6次構造改善は2020年の東京オリンピックの特需に沸く日本を実感すると予想していた。

しかし、業界はこの5年間、社会保険未加入問題、高強度鉄筋の技術確立、総合鉄筋継手業へのアプローチ、外国人材の受入れと重要な問題が山積していた。

国土交通省は、「建設産業の再生と発展のための方策2011」において、平成29年3月を目処に、社会保険加入を企業単位(許可業者)で100%加入、労働者単位で製造業相当の加入(厚生年金保険87.1% 雇用保険92.6%)を求めた。この背景には、若者の業界離れが深刻化しており、若者が安心して働き、未来を語れる業界にするために社会保障制度の構築が急務となっていた。実際、我々の業界においても技量者が3,000名切っており、減少に歯止めがかからない。今後、この状況が進めば業界の存亡が浮き彫りにされてくる。

業界として何をすべきか、まず、市場の拡大であった。今の圧接市場は既に飽和状態となっている。この状態から市場の拡大を求めるには大変な時間と労力が必要となる。むしろ、我々が溶接継手、機械式継手を取り込むことで圧接継手を守ることができるのではないか、その結果が総合鉄筋継手業への道であった。鉄筋継手のシェアから見ると圧接継手70.3%※、機械式継手24.4%※、溶接継手5.3%※となっている。全圧連の会員企業には、既に溶接継手を取り込んでいるところもあり、他の継手を取り組むことに抵抗感はない。これで機械式継手を取り込めば営業品目が増えることになるので、企業にとっては経営基盤の強化につながる。

また、構造物の大型化、高層化に伴って、高強度鉄筋の技術を確立するために(公社)日本鉄筋継手協会と全圧連で高強度鉄筋SD490施工標準を作成して、普及促進のためにSD490の技術講習会を3年間全国展開した。そこで培われた技術や機器はメーカーによってフィードバックがかけられ、技量者の技術を支える礎になると確信している。

現在、全圧連で取り組んでいる新たな在留資格「特定技能外国人」は、2018年12月に建設分野における特定技能外国人の受入れに関する検討会議で、鉄筋継手(圧接継手・溶接継手)が特定技能外国人の受入れ業種として認められた。これにより全圧連は12月からベトナムの建設機械短期大学(リコジ短期大学)で技能教育を行い、2020年3月ベトナムで技能評価試験を実施することになった。これが第6次構造改善計画の最後の事業となる。

外国人技能実習生については、低賃金、劣悪な労働環境、残業代不払いと様々な問題が噴出している。そして7割以上の企業で労働基準関係法令違反が認められているという。

我々は、来年4月から特定技能の在留資格で入国してくる外国人に対して真摯に向き合い、彼らに「ものづくり」を教えていく道のりを作っていかなければならない。

彼らが自国に持ち帰るものは絶望ではなく、圧接継手の技術=「夢」を持って帰ってもらうために技術指導を行うことが我々の使命である。

第7次構造改善計画は令和2年4月より始まる。まず、基本となるのは平成31年4月に施行された『働き方改革』である。長時間かつ硬直的な労働時間、低賃金と不安定な雇用、労働環境を是正し、若年技能労働者の育成と技能継承を柱として、総合鉄筋継手業、特定技能外国人の課題に取り組んでいきたい。第7次構造改善計画の5年間はまさに業界にとって大きな節目を迎える転換期となる。第6次で築き上げた事業が圧接業界の未来への道標として実感できる素晴らしい年度になると確信している。

鉄筋継手工法別施工実績より
※2017年度(公社)日本鉄筋継手協会
鉄筋継手工法別施工実績より

全圧連は、7月9日に臨時総会を開催して、総合鉄筋継手業として新たな時代に向かって歩むために定款第8条の会員資格をガス圧接継手業から鉄筋継手業に変更し、総合鉄筋継手業として全ての継手を取り込む意志を示した。あとは皆様の意見に耳を傾け、どのタイミングで全国鉄筋継手業協同組合連合会に名称を変更していくのか、次の世代に託したい。

そして、第7次構造改善計画のゴールは業種独立である。業種独立は世代を越えて連綿と受け継がれていることが、第1次構造改善計画の元となった「近代化のしおり」の土屋会長の言葉から読み取ることができる。

このしおりを若い人にも是非読んで頂き、そして、そのスピリットを受け継いでいってもらいたい。

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