■雇用管理責任者研修会「圧接継手のこれから 〜圧接継手市場を取り戻すには〜」(公社)日本鉄筋継手協会との公開意見交換会を開催
平成28年11月9日
平成28 年11 月9日、台東区民会館で(公社)日本鉄筋継手協会(以下、継手協会)と全国圧接業協同組合連合会(以下、全圧連)が「圧接継手のこれから 〜圧接継手市場を取り戻すには〜」と題して公開の意見交換会を開催した。初めての試みであったが意見交換を公開することで継手協会と全圧連、そして参加者が共通のテーマで情報を共有することができ、現場の実情を訴える機会となった。
テーマ1.継手工程及び検査工程の確保について
『継手工程及び検査工程を確保する』、品質を確保するためには継手の工程を確保しなければならない。圧接継手は特殊工程として鉄筋の加工組立工程の一部に組み込まれている。トレサビリティが求められ、品質に対する責任が問われている時代に、継手の品質を確保する工程は重要である。継手工程と検査工程を確保するには、現状を打開するためには、業界の現状と問題点について討議を行った。
コーディネーター 松本一彦 西圧協理事長 |
圧接業者が現場に入る前に行われる工程会議に出席しているのは、40 社近い参加者の中で僅か2社、3社しかいなかった。では、なぜ、工程打ち合わせに出られないのか、どうしたら出られるのか。確認したところ、元請会社から要請を受けることはほとんどないのが現実であった。
受注に至るまで、現場にお伺いして、図面を見た上で、どうしても工程打ち合わせが必要になりそうなケースの場合、業者からお願いして参加させてもらうことは稀にしかない。我々、継手を施工している業としては、継手の工程、検査の工程は、品質確保に欠かせない内容であることは理解している。
確かに、鉄筋加工組立の工程に含まれている状況下で施工している業にとって、工程会議に参加できる立場を確立していけば品質確保につなげていけることは理解している。しかし、我々、業側から参加させてくださいって言うのは個々の会社として難しい状況にある。継手協会の会員の中で、ゼネコン、監理に関わっている発注者、設計会社の方々に周知をお願いして欲しい。また、仕様書の解説に継手工程の重要性を入れ、監・管理の講習会でアピールすれば継手工事の工程に関われるのではないかとの意見が出された。
この件について継手協会は、圧接業が事前会議に出られないという現実があることに驚いた。
大きな現場では、鉄筋工事の事前打ち合わせ会議が開催され、監理者、設計者、専門工事業者が出席して、問題点を専門的な立場から提案してもらう。その時、継手位置を変えたり、施工方法を変えたりする。大きな現場では事前の打ち合わせがあって当然であり、継手の専門家として意見を述べるチャンスであると。
しかし、現実には工程会議、事前の計画会議に9割以上の圧接業者がでていないのは鉄筋会社に委ねている現実がある。業としても重要な工程の品質を確保するために工程打ち合わせに参画させて下さいということを業側から訴え、鉄筋業者と一緒に出席して継手の品質を確保するために継手工程と検査工程で日数を要することを我々が説明していかなければならない。
確かに、受注形態も地域性もあるがゼネコン、鉄筋会社に地道に訴えていくしかないとの発言がなされた。
もうひとつの提案として、仕様書の中に品質を確保するための継手工程と検査工程を入れることを検討して欲しいとの提案が業側からなされた。監・管理の方に継手の工程の1日、2日が品質を確保するために重要であることを説明して欲しい。と業側から要望がだされた。
これについて、継手協会から仕様書の解説に継手工程の確保について、業側の意見を盛り込んでいきたいとの回答がなされた。
テーマ2.総合継手業への道
総合継手業は、新圧接業未来戦略検討委員会で1年間にわたり討議されている。すでに圧接を専業として、溶接継手、機械式継手、DB ヘッドと様々な分野で活躍している企業もある。総合継手業として継手のエキスパートとしてやっていくためにはどのようなアプローチが必要か、現状と問題点について討議を行った。
圧接の市場占有率は68%と、どんどん市場が縮小しているのが現状である。
我々が何をしなければならないのか、未来戦略検討委員会でも様々な意見が出て討議がなされているが、今までどおり圧接一本で、会社を守れる時代では無くなってきている。
今、機械式継手が伸びている。それは誰でも講習を受ければ施工できるシステムになっており、圧接の技量者の場合は4種まで取得するのに最低2年はかかる。 キャリアが必要な圧接、キャリアを問わず誰でも施工できる機械式継手とでは機械式継手が伸びていくのは必然的である。しかし、現場施工となると講習会のようには施工できない現実がある。
我々、業は、管理の記録やトレサビリティを機械式継手に導入して継手の保証をすることで、継手の専門工事業者として活路になる。総合継手業という業態になるにあたって、世の中を変えるのではなく、我々も変わっていかなくてはならない。全ての継手を取り込んで適材適所で機械式継手、溶接継手、圧接継手を提案できるように継手エキスパートとしてイニシアティブを取らなくてはならない。そのためには力を合わせ、生き残るために総合継手業への道に進んでいかなくてはならないとの意見が出された。
日本鉄筋継手協会 和泉信之会長 |
今後について、継手協会は同じ性能を持っている評価基準をしっかり作ること、3つの継手のレベルを揃えることに注力している。1つは性能、もうひとつは検査である。「圧接は非常に厳しくチェックしているのに他はどうか?」という指摘を受ける。しかし、それは逆に圧接は全圧連と継手協会の先輩が非常に信頼性のあるやり方を築いてきた我々の財産である。
まず、同じ性能であれば継手を変更することができる。そのためには同じようにチェックしなければいけない。品質保証のレベルが同じなら検査のレベルも同じでなければいけない。機械式継手、溶接継手、圧接継手のどの継手であっても、そのための仕様書を作り、発注者がきちんと指定して頂くことで、同じ土俵の上でいろんなチェックができる時代に向かっていくと考えている。
現状、まだ、そのレベルには到達していないが、そういう方向で活動していく。まず、しっかりとした仕様書を作る。そして検査は同じレベルでやる。第三者チェックがしっかりしていることが重要であると、継手協会の今後について語った。
最後に、圧接業が取り組んでいるトレサビリティを導入した品質管理システムで、圧接業が施工する機械式継手、圧接業が施工する溶接継手を業界一丸となって進めて行くために継手協会に協力をお願いした。