教育・研修・資格(平成30年度)

■第10期第1回圧接OJT指導員講習会を終えて

平成30年11月13日〜17日

平成30年11月13日から17日まで第10期圧接OJT指導員講習会を開講しました。この講習会は3回行われ、研修生は1年間に96時間の教育カリキュラムを受講します。今回は鈴村講師による「金属結合による固相接合の世界」、大石橋講師による「鉄筋のガス圧接入門」の接合理論に加え、実技訓練では不具合要因の検証として、課題として出された不具合を作り出し、グループで討議、分析を行い不具合要因を発表しました。

伝えることの難しさを実感

野本 皇太郎 ((株)AIWA)

伝えることの難しさを実感

第10 期第1回圧接OJT指導員講習を受けて圧接及び継手の奥深さ、自分の無知さ加減を凄く痛感しました。

初日の講義、「金属結合による固相接合の世界」では、固溶型合金の原子構造、金属の結晶構造(面心立方格子・体心立方格子)など金属結合について学びました。

また、鉄炭素平衝状態図では、炭素の量と温度変化で、どのようなグラフになるのか、とても興味深かったです。

2日目には、鉄筋ガス圧接施工要領書、標準作業、圧力パターン図の作成、午後からは加圧力の求め方、「鉄筋のガス圧接入門」の講義となりました。

圧力パターン図の作成では5人で話し合い、翌日にその通りになるかを検証しました。

結果は、実際よりはるかに秒数が長く思い通りの結果になりませんでした。こういった訓練が大切な事だと改めて感じました。発表でもいつもは分かっているのに緊張というものが先に出てしまって、上手く伝えられなくなってしまう状態になりました。話しの間のとり方、一人一人を見ながらの説明、上手くできませんでした。次回につなげたいと思います。

実技では、不具合の検証とフラット破面の確認をやりました。不具合、フラット破面を作る作業も話し合い作製、検証とこれも上手くいかず大変でした。

5日間という限られた時間の中で沢山の事を学びました。これからまだ2回あり、今回より次回、さらにその次と、多くの事を学んでいけるように努力していきたいと考えております。

今回、私達にご指導して下さった講師の皆様、本当にありがとうございました。

繰り返し検証して圧接の仕組みを学ぶ

尾崎 誠 ((株)太陽ガス圧接)

繰り返し検証して圧接の仕組みを学ぶ

普段の私は、現場で職長として日々作業を行っています。その中で分からない事や、全く知らないこともまだまだ沢山あります。そんなときに会社の方から圧接OJT指導員講習の話をいただき、スキルアップと指導方法を身に付けるチャンスだと思い、参加させてもらう事になりました。

初日の講義では、固相接合という聞いた事がない言葉でしたが、講義を受けている内に少しずつ鉄という物質の仕組みが分かり、どうして金属結合をするのかを細かく教えてもらいました。2日目には今まであまり考えてこなかった圧力パターン図を圧力と時間で作る事でした。それをもとに、実際、自分達で圧接してみると、熱が伝わる前に圧接が終わってしまう事や、ひび割れが入ったり納得できるようなものを作る事ができませんでした。

普段、毎日圧接作業をしているのに、なぜこれ程のズレが起きてしまうのか、不思議でした。多分いつも感覚で圧接をやり、今回のように突き詰めて考えなかったからだと思います。ここでは密着までの時間や圧力を加えるタイミングまで時間を計り、どのようになるとフラットが出来てしまうのかを何度も繰り返して検証し圧接の仕組みをもう一度学ぶ事ができました。こういった経験を大切にして、自分の会社で役立てたいと思います。

今回、自分も含め5人のOJT指導員講習を受講している仲間達と少しずつ絆を深め、先輩方のような頼りになる指導員になれるよう、学んでいけたらと思います。

ここに参加させてもらい会社には本当に感謝しています。

技術の向上を図り課題にチャレンジ

津久井 公太 ((有)シロイ圧接)

技術の向上を図り課題にチャレンジ

私が今回この講習に参加しようと思った動機は、自分自身の技術やメンタルの向上を図り、勉強した内容を自社に持ち帰り伝達したいと考え参加しました。実際に参加させて頂き、まず最初に金属結合に関する講義を受けました。今まで圧接が物理的な視点から鉄筋の分子と分子が結合して出来るという事しか知りませんでした。しかし、今回の講義を通して更に細かい圧接の原理を知ることが出来ました。また、実技のほうでは不具合のある圧接部をあえて作製するという課題では、初めての経験で苦労しました。自分ら10期生5人でフラットを作るために何をしたら良いかと話し合い、いざ実践してみたら予想をはるかに裏切る結果となり、また、そのデータをもとに話し合い、圧接面密着までの工程が重要であるという結果に行き着きました。このように、みんなで悩み考え答えを導き出せた喜びは印象に残りました。あと2回の講習会がありますが、今回のように10期生一丸となり、課題にチャレンジしていきたいと思います。

また、今回お世話になった同期のメンバー、講師の先生方、指導員の先輩方に心より御礼申し上げます。有難うございました。

圧接のすごさを再認識

齊木 勇介 ((株)太陽圧接)

圧接のすごさを再認識

ついに圧接OJT指導員研修が始まりました。3回あるうちの最初の研修ということで最初に痛感したことが自分の圧接の知識の無さです。これから指導員を目指していくうえで、質問をされ答えられないと言うことだけは、絶対にあってはならないことだと思います。ただ、現場での仕事をこなすだけではなく、現場の監督、管理者の方たちを満足させる技術、知識を身につけたいと思いました。

最初の講義で、土井指導員がおっしゃった「今、私がしてる講義をいつかは君達がやるんだよ」と言う言葉に本当に出来るのかと不安になりました。その言葉のおかげで講義をしてくれる人の見方が変わりました。ただ教科書を読むだけじゃなく、相手が理解しやすくするために雑談をはさんだり、この先の研修で役立てていきたいと思います。

実際の講義では、研修生同士で集まり圧力パターン図を話し合い作成しました。いつもの作業を初圧まで何秒と、そこまで意識してない事を図に表すことはとても難しかったです。実際にパターン図通りに焼いてみると、幅焼き時間が短かすぎてまともな形状にはなりませんでした。今後、そういうことを意識して作業していきます。

一番の問題であった全面フラット、8割フラットにはかなり苦労しました。強風、鉄筋端面の汚れ、端面をマーカーで汚す、ずっと中性炎での工程など色々なことをみんなで考えました。結果的には鉄筋端面の汚れがフラット破面が多くでました。ほかの工程においては中々出づらかったです。これだけの事をやっても破面が出づらいことに内心圧接はすごいなと思ってしまいました。

色々な事を経験し、ちょっとずつではありますが、レベルアップできたのかなと思います。まだ先ではありますが、第2回の指導員研修では実際に授業を行います。短い時間ですが自分が言いたい事をハッキリしゃべる、これを目標に頑張りたいと思います。

短い間でしたが圧接OJT指導員の先輩方、講師の皆様ありがとうございました。第2回の講習も頑張りたいと思います。

結果がだせず密着の大切さを学んだ

田村 安広 (栄進工業(株))

結果がだせず密着の大切さを学んだ

今回、1回目の圧接OJT指導員講習会が始まりました。受講する前は自分の頭の中では理解していた所も先生方の講義を受けていくと、まだまだ理解出来ていないことの多さに気付かされました。また、それと同時に先輩方の凄さを改めて感じました。

今まで色々な講習会に参加して、先輩方が先生として堂々と講義ができるのは様々な努力を行ってきた結果なんだということが分かりました。

実技訓練では、まず5人で3種類のバーナーの圧力パターンを考えて作成し検証を行いました。3種類のバーナーのうち1種類は、満足な結果が出ましたが、その他の結果は課題が残り、圧力パターンの大事さを再確認しました。

不具合の検証実験を行う前に土井講師から「難しいぞ」と言われましたが、私は簡単だろうと思い5人で現場で起こり得る可能性がある事象を出し合い実験を行いました。しかし、思うような結果がなかなかでませんでした。ガス圧接において密着するまでがいかに大事かを認識する結果となりました。

D25の1.2D訓練では、自社訓練の時のような結果が出せず悔しい思いをしました。自社に帰ってからも日頃の訓練を積み重ね、技術の向上に努めていきます。

残り2回の講習会が終了した時に先輩方に負けないよう頑張っていきます。

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■雇用管理責任者研修会 構造設計者が考えるこれからの継手
  ─圧接業はどうあるべきか、鉄筋継手業の未来─

平成30年11月8日

平成30年11月8日、アルカディア市ヶ谷において、雇用管理責任者研修会が開催された。今回の研修会では、『構造設計者が考えるこれからの継手 ─圧接業はどうあるべきか、鉄筋継手業の未来─』と題して、総合鉄筋継手業に向けて、業界のトップの方々の講演とパネルディスカッションを通じて進むべき道を模索した。第1部では、森高英夫氏(日本建築構造技術者協会会長)から設計者からみた鉄筋継手について、岡野素之氏(日本鉄筋継手協会会長)から継手の品質について講演を頂いた。第2部のパネルディスカッションでは、鉄筋工事業から岩田正吾氏(全国鉄筋工事業協会会長)、検査業から前川真一氏(鉄筋継手検査業協会理事)をパネリストとしてお招きし、今後の鉄筋継手業のあるべき姿についてディスカッションが行われた。

雇用管理責任者研修会 構造設計者が考えるこれからの継手

 ●第1部 講  演

建築構造設計者が考えるこれからの継手

(一社)日本建築構造技術者協会 会長 森高英夫

構造設計というのは構造計算だけではありません。快適な建築空間を提供し、合理的な構造架構システムを設計するというのが我々の仕事です。これからの未来を考えながら我々の業界がどう変わっていくのか、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

今後、超高齢化社会が来ると言われています。建築業界も担い手の人材不足、そこで働き方改革ということで、建設業界も週休2日制になるかもしれません。そのためには適正工期、給料面、保険面などの処遇改善、整備をしていかないと働き方改革が推進できないと思っています。そこで我々の課題は、設計施工段階でいかに生産性や効率化を図ることがテーマです。限られた人材、資材、機材でどうやって効率的に運用していけるか、そのためにはICT(Information and Communication Technology) という技術を積極的に活用していくことです。設計段階で設計者だけでなく、施工会社、継手会社がBIM(Building Information Modeling)のデータを見て、どういう継手が現場にふさわしい提案ができるか。

今までみたいに図面ができて現場が始まり、ゼネコンから図面をわたされて考えろじゃなく、設計段階から考えることができる世界になってきています。

建設現場ではプレハブ化、鉄筋の先組み、プレキャスト化、工期短縮という工法にシフトし、現場の技能者も高度な人材を確保しなければなりません。単に体を動かすだけでなく、自分で考えマネージメントする人材が求められています。

品質についてですが、平成29年度の圧接継手の不合格率は外観検査が0.04%、超音波探傷検査が0.02%となっています。これは皆さん自信をもって頂いて良いと思います。不合格数が極めて少ないということで圧接はA級継手で良いと思います。では、A級継手は何がメリットかと言いますと、施工の合理化、設計の合理化、生産性の向上につながる継手工法であるということです。

全圧連の皆さんは、生産性、効率化に向けて全体で取組んでいかなければなりません。BIMが発展してきますと設計段階で、設計者、ゼネコン担当者に提案できる力、総合継手業として適材適所の継手工法を提案することが求められます。

それから圧接は、A級継手の性能があるので認知度を上げて、A級継手を用いて生産性を向上させる。先ほどBIMを紹介しましたけど、設計・施工プロセスの変革で、設計段階で施工会社および鉄筋工事会社の参画により、例えば、配筋プロセスとか合理的な継手とか、コスト、工期、工事計画の提案をしていけるのではないかと思います。

これからこのように未来は変わっていくと思います。

継手の未来について講演する森高会長
継手の未来について講演する森高会長

継手協会が考える継手の品質 ─優良鉄筋継手業への期待─

公益社団法人 日本鉄筋継手協会 会長 岡野素之

協会が品質管理をこの先どのように固めていこうか、という話をさせて頂きます。まず、基本は『しきい値』です。しきい値を守っていないとアウトなんです。しきい値って何かっていうと、例えば、私たちの世界で言いますと、圧接のふくらみの大きさをこれ以上にして下さいっていうのがしきい値です。あるラインから上で管理する、これがしきい値です。いろいろな工事をやる、不確かさが我々にはあるわけです。人間がやることですから、そういうところに安全率を入れています。私は、口癖のように言うんですけど、建設はやっぱり機械の力を借りるけど、結局、人間が作っているよねって、こういうところを全部加味して、しきい値を決めています。ですから最後の砦は施工者のモラル、皆さんのモラルなんです。

協会が目標とする姿ですが、それは標準化です。協会の規定を日本の規定とするということです。全部JIS化していこうというのが究極的な目標です。これを現在実施中であります。JIS Z 3450で鉄筋の継手に関する品質要求事項があります。この鉄筋をつなぐときはこういうものを要求しますとJISに記載してあるわけです。これでやりなさいと言っているのと一緒です。こういうことが一般的になっていきますとA級継手の汎用性が広がっていくことになります。協会の標準をJIS化する計画は大体終わりに近づいています。後は土木建築分野への働きかけになります。日本建築構造技術者協会には、本日、森高会長がお見えになっておりますが、お話はしてありまして、設計図書に、JISに準拠するよう書いて頂く方向でお願いしています。

最後に、総合鉄筋継手への期待をお話しして終わりにしたいと思います。まず、機械式継手の優良会社認定制度を導入予定です。そうしますと3種類の継手の会社認定制度が整います。で、複数の優良会社認定を有する会社、例えば、機械式継手と圧接、あるいは機械式継手と溶接、もちろん3つあれば最高ですけど、そういう会社を総合優良継手会社と呼べばどうかなって思っております。

私どもが圧接業の皆様に総合鉄筋継手業への展開に期待するという理由は、これまで様々な継手をきっちりとした施工管理をされてこられたという実績です。それは継手の専業者なので、品質管理の手順を熟知しているからです。ですから、品質システムを比較的容易に機械式継手に展開できると私は考えています。

皆さん、是非とも総合鉄筋継手業への参入をお願いしたいと思う次第であります。

総合鉄筋継手について講演する岡野会長
総合鉄筋継手について講演する岡野会長

 ●第2部 パネルディスカッション

『圧接業はどうあるべきか、鉄筋継手業の未来』

〈パネリスト〉
一般社団法人 日本建築構造技術者協会 会長 森高英夫 氏
公益社団法人 全国鉄筋工事業協会 会長 岩田正吾 氏
公益社団法人 日本鉄筋継手協会 会長 岡野素之 氏
鉄筋継手検査業協会 理事 前川真一 氏
全国圧接業協同組合連合会 会長 大場毅夫
全国圧接業協同組合連合会 青年部会長 西 暢幸
〈コーディネーター〉
関西圧接業協同組合 理事長 足立真規
パネルディスカッション:テーマ1

コーディネーター 足立真規 関西圧接業協同組合

パネルディスカッション:テーマ1

理事長(以下、足立)

まず、JIS規格と3つの継手とあります、森高会長、構造設計の立場からJIS化についてお話し願います。

森高英夫(一社)日本建築構造技術者協会 会長(以下、森高)

岡野さんからJIS化の話しがありまして、今、溶接とか機械式の測定方法がJIS化されると、全てJISとして揃うわけですね。設計者の立場で特記仕様書を書いていますけども安心ですね。日本の規格にあっているということで、それに則って工事したり検査するということが普及していくのであれば、構造設計者としては非常に歓迎すべきだし、全て揃えば設計図書の仕様書に記載することになるのかなと思いました。

森高会長
森高会長

足立 実は圧接の可能性を見直した方がいいんじゃないかという意見を岩田会長から頂いたのを憶えています。岩田会長、圧接に対して一言お願いします。

岩田正吾(公社)全国鉄筋工事業協会 会長(以下、岩田)

A級継手で同一断面で圧接できるんですよ!これを何で皆さん前に出してこられないのかな?我々が継手でねじの方にいってしまうのは地組みができないからなんです。地組みをするがためにねじになってトータルコストが上がるんです。全体的なコスト面から考えても一番信頼のおける圧接、A級継手というものをもっと前に出されるべきじゃないかなと、施工者の立場からそのように感じます。

足立 検査の重要性と品質をどう担保していくか、というところの話しになると思います。前川さんお願いします。

前川真一 鉄筋継手検査業協会 理事(以下、前川)

私ども検査業もガス圧接には大変安心感があります。これは長い歴史もあり、自主検査、受入検査が当たり前のように行われているということから言えることです。NGが2つ出たら全数検査しなきゃいけない。現場を止めてしまう。その点、ガス圧接は何十年もやっておりますけど、安心して仕事ができる。このため先ほど皆さんがおっしゃっているようにA級継手で堂々といかれたらいいのではないかと思います。

岡野会長
岡野会長

足立 我々には既に優良圧接制度があります。この件に関して、岡野会長、これからどういう形で進めていくのかお話し願いますか。

岡野素之(公社)日本鉄筋継手協会 会長(以下、岡野)

タイムスケジュール的に言いますと、骨子が決まってきたところです。審査がありますから最短で2020年の春に誕生するということです。ですから皆さん、是非、応募して頂きたい。歴史ある圧接をこのレベルまで高めてこられて、それを維持されている方々にとっては大したハードルではないだろうと思っております。

足立 今後、優良圧接会社認定制度、優良圧接限定をJSCA森高会長、是非、広めて頂けるようにお願いします。

西青年部会長
西青年部会長

森高 我々、発注者から仕事を頂いて責任を果たすためにいろんなところの品質を担保しないとだめなので、圧接は優良会社にと書いています。

今、首都圏の工事は、優良圧接会社でないとできないような方向になっていますし、これをもっともっと地方に展開していかないと駄目だと思っています。協会でやっている優良会社制度をもっと普及させていく必要があると思います。

パネルディスカッション:テーマ2
パネルディスカッション:テーマ2

足立 生産性向上、A級継手と先組み工法ということで、西青年部会長お願いします。

西 暢幸 全国圧接業協同組合連合会 青年部会長(以下、西)

確かに、少子高齢化でどんどん職人が年をとっていく中、森高会長の講演にもあったように、高層化してD32以上、D38、D41と柱筋があったときにどこまで自力で立てられるのか、そんなときにA級継手で全数継手の先組みしたものを建て込んで圧接するということをやれば職人の負担も減り、スピードも速い。本当に圧接の品質、信頼性は自信を持って取り組んだら良いと、凄く自信をもてる話でした。あと、機械式に取り組むにあたっては、鉄筋屋さんとタイアップして行かなければいけないんじゃないかなと思います。

足立 検査のない継手はないということで、自社で自主管理パトロールをやっていかなければなりません。大場会長いかがですか検査について。

大場毅夫 全国圧接業協同組合連合会 会長(以下、大場)

自主検査、自主管理パトロールというのは、今日こちらにいらしている仲間は慣れています。エンクローズ溶接の超音波探傷検査は非常に高度なテクニックがないとできない。機械式継手に関しても挿入の長さの超音波探傷もテクニックが必要です。そういう点でどうでしょうか、専門家の立場から。

前川理事
前川理事

前川 自主検査、自主管理パトロールが定着している業界だからこそ、私達は外観だけでもしっかりやって頂ければ全然違うと思います。機械式ってモルタルあるいはグラウドの充填、そこ一つ見て頂ければ、ほとんど品質が分かるようなものですから、こういった所に力を入れて頂ければ、超音波までしなくても大丈夫です。

足立 正しい仕様書のもとで、正しい技量を持って、正しい検査を受けると言うことが、後戻りのない一番の生産性向上につながるのかなと感じています。継手の工程確保というと非常に厳しいかなと思うんですが、そのためには、鉄筋会社との連携が必要です。

岩田 検査という部分だけ取り出していえば、ここは鉄筋屋と一緒に連携をしないと、我々も配筋検査をなかでやれと言われるんですけど、検査の日程みたいなものをとってもらったことがないです。圧接屋さんも正直、どこで検査していいか分からない工程の中で、やらされているのがほとんどやと思います。品質というものを本当に担保にするんであれば、どこまでが自主管理なのか線引きが難しい。第三者機関が入ると工程をちゃんと入れるんです。けど、自主管理とつくと工程をとらない。そういう意味では先生方と一緒にですね、品質の面からゼネコンに対するアピールを鉄筋屋と一緒に圧接業界もやっていかないと自主管理という部分に関してもなかなか工程をとってもらえないんじゃないか。ここはやはり連携が必要であって、一緒に歩調を合わせてやるべきだと思います。

パネルディスカッション:テーマ3
パネルディスカッション:テーマ3

足立 今日も外国人実習生の話がありました。若年者雇用、仕事の平準化のキーワードがあります。これから先、若い人たちが入ってこない…さて、どうするんだと、皆さんが不安に思っていることと思います。外国人実習生について、岩田会長、鉄筋工事業協会では、どういう形でやっておられるのかお願いします。

岩田 今、全鉄筋の方から300数十名入って来ているわけですが、ベトナムの管理者5人が全国を走り回ってまして400名でいっぱいいっぱいです。後は地域で確保するしかない、関西も鉄筋組合独自で採っていますけど、両方合わせても500名で限度です。

若年層の確保というのが大事ですけども来ないのが現状ですね。働き方改革とか社会保険とかね、スタートラインにも立っていないような議論であたふたしているわけです建設業界は!そういうとこに来るか、というと来るわけがない。業界が25年後に人が半分になることを議論された方が良いのでは、ということをこの間からズーッと申し上げております。25年後の総施工量と人口減少、圧接屋さんは、皆さん資格者ですから人数を分かってますよね、年齢構成をどれだけ分かっておられるかということです。ヘタしたら25年後、うちの会社は職人が3分の1しかおらんのとちゃうか、というところも出てくるんじゃないでしょうか。圧接業界でもきちんとデータをとったら、ちょっとこれまずいんじゃないかということが出てくると思います。日本の職人も外国人の労働者も確保していかないと施工できなくなる時代が来る。もう間近に、そのように思います。

大場会長
大場会長

足立 事前の会議で、岩田会長がよく言われていたのが、これからは若い職人をどれだけかかえているか、それが仕事の平準化にも関わってきますよということでした。岩田会長も言ったとおり外力を使わずにやっていくのが一番いいと。

大場会長、今、どのくらい圧接の資格者が減っているのか、今後の見通しとあわせてお話し願いますか。

大場 今、2,700名しか資格者はおりません。30年前に比べますと半分ぐらいですね。皆さん、自分の会社の従業員さんの平均年令を出したことありますか?先だって圧接の資格者の年令構成グラフを継手協会さんに出して頂きました。やはり、心配していたとおり、5年、10年、20年後と考えますと、とても寂しい結果になってきます。ですから、全圧連は国土交通省さん、日本鉄筋継手協会さんと共に、外国人労働者を呼べないかと前向きに取り組んでいます。

岩田会長
岩田会長

岩田 先程、日本の若い人が、建設を選ばないと言いましたけど、ベトナムの子らも一緒です。同じ最低賃金で働いて、トヨタの工場で働くか、鉄筋屋か、圧接屋になるかと言われたらトヨタでしょ。今、ラオス、ミャンマー、フィリピンなどに行っているが、世界各国との競争に日本は負けている、最低賃金なので日本にこない。業界は、お金を日本の職人並みかそれ以上に出さないと来ない。絶対的な施工量を考えた時、今いる人間のオーバーワーク部分は外力に頼らざるを得ない。仕事が減ったらどうするんだという問題がありますが、全国という組織があるわけですから、例えば関西が暇になっても東京は忙しい。うちで採とろうかと実習生を受け入れてくれる。これが仕事の平準化になるわけです。雇用して仕事がなければ鉄筋屋はつぶれます。これが現実です。仕事の平準化と人の流動化、業界としてどう取り組んで行くか、敵はいないです。身内同士で仲間同士で、連携してアジャストしないと、仕事量が地域によって違います。ここをうまくバランスとる方法を一緒になって考えないといけないんじゃないかな。我々、圧接がないと、現場が成り立っていきませんから、人が減れば売り手市場になって単価、お金があがりますよね、それでいいんじゃないかという部分もあります。

しかし、施工量、絶対量をカバーするという部分では、どうしても労働力は確保せなあかん。働き方改革って、本当に週休2日制にしたいと思っている職人さんはどれだけいるでしょうか?これね、月給になったらなぁ…って言う声聞きますけど月給になってもです。週2日休んで、土日遊びに行きたいのか?儂はもう日曜日だけでええと、そのかわり現場終わったら、次の現場までの3ケ月空くやろ、その間、20日間休みくれっていうのと、どちらがいいかってことです職人は、働き方改革は、経営者の目線とか国の目線ではなくて、働いている人がメリット、恩恵を感じるような改革をしない限り、本当に良い改革にはならない。

アメリカのワーカーは手取りで1,000万あって1か月位休むんです。日本では1,400万、1,500万になるんですね、それが当たり前なんです。それが香港では手取り1,000万でも働いてくれないっていうんです。人口が減少して、本当に建設業で働く人がいなくなった時に、売り手市場になるからいいんやと、そんな簡単なことでは済まない、必ず絶対数がいる。そこへいってしまうとヘタすると圧接はなくなります。

外力を獲得するため、世界の中で勝てるように知恵を絞って、それと建設業ならではの休み、こういう方向に舵を切らないと来てくれない。やはり1,000万ぐらいの所得があって、それでもしんどい、工程もきついけど、こんだけの金があるんやから頑張ろうと。そのかわり、現場が終わったら20日間、かぁちゃんと遊びにいこう、彼女と遊びに行けるっていう、そういう方向に舵を切らないと、建設業には人が来てくれない。

我々、秋季定例会で決議したのは、これはできるかどうか分かりません。だけども全鉄筋として、日本の政府に対しても、国土交通省さんに対しても、日建連さんに対しても、全建さんに対しても、7月、8月、9月は完全土休にしてくれと、気象庁がこの夏、これだけの暑さは災害に匹敵すると認定しているんですよ。その中で働いているわけですね。30分に1回水分補給しないと、もし死亡事故でも起きたら、事業主と職長の責任は重くなっているんです。我々はそういう環境下で働いていることを認識したうえで、職人の命を守ることが先やろ、ということで秋季定例会で決議しました。

是非とも全圧連さんでも議論をされてですね、そういう暑い中どうするのか、熱い4 4 でしょ!生半可じゃないでしょ!災害認定されている中で火だしてあぶっているんですよ、全圧連さんとして独自にこうしてくれって声をどんどんあげるべきやと思います。

足立関西協理事長
足立関西協理事長

足立 そろそろ、時間になってきました。パネリストに皆さん、何か一言あれば。

岩田 最後に、ねじ継手の話しで、これはゼネコンさんの選択ですから、我々が機械式継手にしろじゃなく、地組みをするための工法として選択しているということです。A級継手の話しをしましたけども、継手協会でA級継手をもっと前に出して、自分たちの生きる道を模索するべきやと。

先ほど、岡野会長に聞いたら、2,700人がもう少し減るかもわからん、半分位、1,300人位に減るんじゃないかなと、その時にこの議論ができるかという話しです。1,300人の人間で日本の継手、ねじの方に変わっていって、それだけの施工量をカバーできるかというと、私はそのようには思わない。若い人を雇用するためにどうしたら良いか、職人、外力を入れるためにどうしていくのか、それと教育システムをどうしていくか、圧接って、今まで作り上げてきたとおっしゃってますけど、その半分以上いませんよ。現場の第一線で働く人ばっかりになっていますから、これ鉄筋も一緒なんです。今、富士教育訓練センターに行かれてますよね、センターを基幹として教育システムを構築するということが重要だと思います。

足立 ありがとうございます。我々が本当に正しい事をして、正しく雇用をして、正しく育成していけば、我々業界はますます発展していくのではないかとこのように感じました。

パネルディスカッション『圧接業はどうあるべきか、鉄筋継手の未来』ということで展開させて頂きました。

パネリストの皆さん、ありがとうございました。

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